2022 Fiscal Year Research-status Report
主観的事態把握から対人関係的機能の発達の多様性に関する多言語研究
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18K00647
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早瀬 尚子 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (00263179)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 主体化 / 主観化 / 談話標識化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度もコロナ関連で進捗状況は思わしくなく、海外学会等での発表も難しい状態にあった。加えて本務校での役職等もあって時間をとられてしまったこともあり、当初予定通りの研究を進めることができず、少し停滞した1年となってしまったことは残念である。このため1年間の延長申請をするに至った。 しかしながら、今年度の実績としては、当初の予定とは少し変わった方向性にはなったが、懸垂分詞由来の表現の間主観的かつ談話標識的な使い方について、カウンセリングにおけるインタラクションを中心としたデータを基に、これまで過去3年間で積み上げてきた談話標識化の事例がどのように使われているのか、その意味分化の使用傾向や使用パターンについての調査を行い始めた。まだ調査検討段階ではあるが、現時点で方向性として見えてきた特徴として、特に相手を積極的に誘導するときには前置型の懸垂分詞由来表現を、また相手に対して補足的な情報を提示して理解を促進したいときには後置型の懸垂分詞由来表現を用いる傾向がみられている。これは昨年度に着手していた前置型と後置型での意味分化と、語順に伴う構文化パターンの違いというテーマを、インタラクションに着目する語用論的な研究へと広げる可能性をもつものと考えており、当初のテーマを拡大するものと捉えている。 この現象をより広範囲に、できればジャンルも変えて検討することに注力しつつ、それについての調査を進めている。また、それについての論文化も現在試みており、今年度中にはその内容について形にして発表ができるように進めることを目標にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本語との比較を進めたいのと、前置型および後置型の機能の違いについて、新たなインタラクション現場での使用というテーマで追究してみようとしているため、研究途上という形になっていて、論文化までこぎつけていないことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
インタラクション研究の論文化を急ぎ、また日本語現象との比較とまとめにも手を付けることで、最終年度のまとめとしたいと考えている。院生のアルバイトの力を借りることで論文執筆を中心に進められるように注力したい。
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Causes of Carryover |
コロナによる学会等のオンライン実施により旅費の支出がほぼなかったこと、また研究の停滞により人件費やアルバイト等に対する謝金等の支出ができなかったことが理由として挙げられる。今年度は最終年度となるので、研究をまとめていくうえで院生等のアルバイトを積極的にお願いすることで残額を計画的に執行していきたい。
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Research Products
(2 results)