2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Research on the Diversity and Development of Subjective Construal to Interpersonal Functions: A Multilingual Viewpoint
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18K00647
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早瀬 尚子 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (00263179)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 主観化 / 主体化 / 談話標識化 / 語順 / 懸垂分詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である今年度は、研究テーマである懸垂分詞由来の表現の間主観的かつ談話標識的な使い方について、昨年度よりカウンセリングをターゲットとし、その中で使用されているインタラクションを中心としたデータを基に研究を進めた。 懸垂分詞由来で談話標識化に向かうと考えられる事例がどのような場面で使われているのか、その意味分化の使用傾向や使用パターンについての調査を進めた。昨年から見えてきた特徴として、特にクライアントの思考の変容を積極的に誘導するときには前置型の懸垂分詞由来表現を、またクライアントに補足的な情報を提示し、意図の確認や、その理解を促進するという局面においては後置型の懸垂分詞由来表現を用いる、という傾向がみられることがわかった。 これにより、本研究課題の目的に基づき調査研究していた、談話標識使用の前置型と後置型での意味分化と合致している傾向であることが確認できた。また、構文研究において、構文化パターンと語順との関係性について貢献することができると考えられる。また、構文化パターンの違いとインタラクションとの関係を検討することにつながり、構文とその語用論的な側面を強く考慮する必要性を論じる論文を、完成年度中に完成することはできていないが、現在引き続き執筆中である。 今後の計画として、英語だけでなく日本語でのカウンセリングデータなどのインタラクションでの共通性および相違点について、比較検討をすることを考えたい。そして、文や物語レベルといった文語的ジャンルだけではなく、対話を通じたインタラクションという会話ジャンルの中でも同じように、状況場面に応じた語順や形式の役割が異なってくるのではないか、そのように言語表現形式がすみ分けをしているのではないか、ということを明らかにしたい。
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