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2019 Fiscal Year Research-status Report

A Constructional Approach to Language Change

Research Project

Project/Area Number 18K00649
Research InstitutionNara University of Education

Principal Investigator

米倉 陽子  奈良教育大学, 英語教育講座, 准教授 (20403313)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords受益者受動構文 / 英語進行形 / 構文化
Outline of Annual Research Achievements

2019年度の研究計画は,遅れが出た前年度 (2018年度) の研究計画の一部をカバーしつつ,英語進行形 (be + V-ing) の通時的機能変遷の特徴をまとめることを軸としていた。
まず,as if節に現れる進行形表現については,Kranich (2010) の主張と異なり,解釈的進行相構文の発達にはさして影響していないのではないかと考えた。むしろ,進行形がたびたび表す(間)主観的機能の発達に注目するほうが妥当であると仮説を立て,この文法構文が最近,love等の感情的状態を表す動詞との共起を許すようになっている現象を,英語が全体的に客観的視点をとるようにシフトする中,あえて主観的な機能を強化するようになる変化としてとらえた。以上の考察を論文1本にまとめた。
さらに別の構文的変化の実例として,英語受益者構文の前期近代英語期における状況についてコーパス調査を行った。その結果,新しい構文が芽吹く際には,ある水準以上の使用頻度に支えられたコロケーション(あるいはチャンク)の存在が大きな役割を果たしうることがわかった。また,あるコロケーションが使用されることを左右する要因としては,他言語との接触の他,もともとある動詞がどのような構文に現れていたのかを考慮する必要があることを示した。以上の研究成果を論文2本にまとめた。
また,解釈的進行相構文の意味機能に対する理解をより深めるため,Brinton (2017)の書評を行った。Brinton (2017)では,第7章において,英語語用論標識I’m just sayingの通時的発達が議論されているが,この語用論標識は,どこかpolite useな響きがあるという点で,解釈的進行相構文と共通している。書評を通して得られた研究手法を自分の今後の研究にも応用したいと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は研究成果を3本の論文と1本の書評として発表できた。
論文では,これまで自分の英語受益者構文の発達についての研究で手薄であった初期近代英語期のデータに基づく考察をまとめることができた。また,英語進行形 (be + V-ing形) の研究としては,現代英語に見られる「状態を表す動詞に関する進行形適用制限」が比較的最近課された文法規則であることを確認したうえで,英語進行形を英語学習者に教授する際の注意点を指摘した。あわせて,この構文が持つようになっている主観的側面についてもふれた。この主観的側面は,2020年度研究計画の中核となる「解釈的進行相構文」の発生と機能解明にも深く関わるものである。
また書評では,さまざまな語用論的マーカーが英語に定着する過程を論じたBrinton (2017)の評を行った。Brinton (2017)は,各語用論的マーカーの共時的振る舞いを概観したうえで,それらの意味的・語用論的機能が通時的にどのように現れたのかを通時的コーパスデータや通時的テクストから採取された実例をもとに論じている。その研究手法と知見は,本研究にも大いに参考になった。

Strategy for Future Research Activity

研究計画最終年度に当たる2021年度 (令和2年度)は,解釈的進行相構文の通時的起源についてより深く考察を行い,1本の論考にまとめて,学術論文の形で発表することを目標とする。Kranich (2010) の主張 (as if節と解約的進行相構文の関係) については,今のところ,個人的には否定的であるが,この点を19-20世紀英語コーパス (the Corpus of English Novels) からの採取例を主たる言語データとしながら,より理論的に精緻化したい。その際には,be + V-ingというフォームにrestricted viewing pointという意味機能が英語においてペアリングされたことに着目する。
また,受益者受動構文の発達については,英語以外のヨーロッパ言語(ノルウェー語やオランダ語等)における当該構文および二重目的語構文の発達・変遷に着目して,英語の場合と比較しつつ,1本の学術論文としてまとめる予定である。
以上の学術論文をもって,構文の通時的変化を考察する言語学的意義ついての議論をまとめ,本研究の総括としたい。

Causes of Carryover

平成31年度は開催学会会場が関西圏が多かったことと,10月に出席を予定していたシンポジウムが台風の影響で流れたため,その分,旅費がかからなかった。
その結果,未使用金が3,841円出たが,研究計画最終年度の2020年度も無駄な出費は抑えつつ,大事に使いたい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Book (3 results)

  • [Journal Article] Review: Laurel J. Brinton "The Evolution of Pragmatic Markers in English: Pathways of Change"2020

    • Author(s)
      Yonekura Yoko
    • Journal Title

      Studies in English Literature

      Volume: 61 Pages: 137-143

    • Peer Reviewed
  • [Book] ことばから心へ (担当論文名  米倉よう子「外国語教育における言語学の有益性」)2020

    • Author(s)
      米倉 よう子、山本 修、浅井 良策 (編著)
    • Total Pages
      448 (担当箇所 pp.410-421)
    • Publisher
      開拓社
    • ISBN
      978-4758922821
  • [Book] 英語学の深まり・英語学からの広がり (担当論文名 米倉よう子「新しい構文の芽生え:初期近代英語期における英語受益者受動」)2020

    • Author(s)
      南 佑亮・本田隆裕・田中英理 (編著)
    • Total Pages
      268 (担当箇所 pp.96-107)
    • Publisher
      英宝社
    • ISBN
      978-4269770577
  • [Book] 言語におけるインターフェイス (担当論文名  米倉よう子「英語受益者構文をめぐる構文文法と歴史言語学の交差」)2019

    • Author(s)
      西原哲雄・都田青子・中村浩一郎・米倉よう子・田中真一 (編著)
    • Total Pages
      293 (担当箇所 pp.182-198)
    • Publisher
      開拓社
    • ISBN
      978-4758922791

URL: 

Published: 2021-01-27  

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