2020 Fiscal Year Research-status Report
焦点化現象に基づく談話インターフェイス統語構造の実証的研究
Project/Area Number |
18K00654
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西岡 宣明 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (80198431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 知昇 九州大学, 言語文化研究院, 助教 (20757273)
下仮屋 翔 産業医科大学, 医学部, 講師 (70746594)
前田 雅子 西南学院大学, 文学部, 准教授 (00708571)
黒木 隆善 九州共立大学, 経済学部, 准教授 (10751654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラベリング / カートグラフィ / フェイズ理論 / 焦点化 |
Outline of Annual Research Achievements |
焦点化という談話概念の統語構造への反映を近年の生成文法研究で注目されているフェイズ理論ならびにラベリング分析とカートグラフィ分析に照らして詳しく考察し、焦点化のメカニズムを明らかにすると同時に、焦点化におけるフェイズの役割と、焦点化現象がもたらすラベリングとカートグラフィ分析に対する理論的帰結を導出し、フェイズの内部構造と談話とのインターフェイス構造を明らかにするという本研究の目的に沿って、2020年度は、以下のことをおこなった。 まず、代表者(西岡)・分担者(前田・黒木・大塚・下仮屋)全員で2019年度の研究状況と本プロジェクトの目標と2020年度の研究内容を確認した。そして、2020年度は特に節(CP)領域と動詞句(v*P)内の焦点化とラベル付けの問題を考察し、総括することとした。そのために西岡は熊本方言の格助詞と焦点の関係を精査し、前田は、長崎方言ならびに英語の倒置と削除が動詞句のラベル付けと焦点化に関わる問題を検討し、大塚はカートグラフィとラベリングの理論的整合性から焦点化移動を考え、黒木と下仮屋が分裂文における焦点化とラベリングの問題を考察した。そして、下仮屋は英語における場所句倒置と重名詞句移動の焦点化の観点から動名詞のラベリングの問題を吟味した。これらの研究成果の一部は、日本英文学会九州支部でのシンポジウムという形で公表した。本年度の研究で共通して明らかになったのは焦点化におけるCPとv*P内のフェイズ主要部からの素性継承による焦点化素性の関与である。そして焦点化による素性共有は構造のラベリングに寄与するが、ラベリングに寄与しない対併合を伴う焦点化もありうるということである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
西岡と黒木の想定以上の学内業務の増加ならびに西岡に身内の不幸があったため、また、全員ともコロナの影響によるその対応への労力により、当初の計画通りには進展しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
再度、研究の到達目標を確認して、現在の個々の分析の拡張可能性を探ると同時に相互の研究から得られるさらなる一般化を引き出しその成果報告書を完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響もあり、学会等の出張ができなかった。翌年度に学会等ならびに調査のための出張旅費、報告書作成旅費、さらなる調査のための図書購入に使用予定である。
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Research Products
(13 results)