2021 Fiscal Year Research-status Report
統語的対象物のラベル付けと線状化に関する比較統語論研究
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18K00659
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
瀧田 健介 同志社大学, 文学部, 准教授 (50632387)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統語論 / ラベル付け / 省略現象 / 主題役割 / 動名詞 / 難易構文 / コピー形成 / 生成文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、前年度に引き続き省略現象について「線状化に基づくラベル付け仮説」の観点からの研究を継続して行い、それと並行して、生成文法理論の最先端において注目を集めている「強い極小主義仮説を満たす説明理論の構築」に関して研究を行った。 特に、日本語などの言語にみられる「柔軟な主題役割付与」という現象について、「線状化に基づくラベル付け仮説」を基盤とする新しい主題役割付与の理論を構築して考察を試みた。また、この研究に関連して、省略現象の一種として日本語の動名詞句におけるN'削除現象を取りあげ、動名詞句の内部構造について検討を行った。この成果の一部については、2021年8月にオンラインで行われたWorkshop on Ellipsis in Japaneseおよび2022年3月にオンラインで行われた南山大学比較統語論・言語獲得研究会(CSLA)#13において口頭発表し、さらに発展させたものを国際学会の口頭発表として応募中である。 また、西南学院大学の前田雅子氏、福井大学の中村太一氏と共同で、日本語のいわゆる難易構文における島の効果についての新しい経験的発見を行い、その分析と理論的意義について考察した。より具体的には、当該の新しい発見が強い極小主義仮説を満たす説明理論の構築を探る中で近年提案されている「コピー形成(Form Copy)」を仮定することによって適切に説明できることを示し、この操作を経験的に支持する証拠となることを論じた。この成果の一部は、2021年11月にオンラインで行われた日本英語学会第39回ワークショップおよび2022年3月にオンラインで行われた慶應生成文法研究会において口頭発表を行い、さらに内容を発展させたものを国際学会の口頭発表として応募中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種学会・研究会が少しづつ再開されつつあるものの、依然として新型コロナウイルスの影響による本務校でのオンライン授業への対応などによって研究遂行を行う時間が削減されてしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
各種学会・研究会や研究者間の交流のオンライン化が進んだことを受け、より広範に、またより頻繁に交流を持つことにより、研究のさらなる発展を目指す。また、研究期間の最終年であることを念頭により論文執筆に注力することで、オンライン化の影響を最小限に抑える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により各種学会・研究会がオンライン開催となり、予定されていた旅費の一部が使用できなかったため。
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Research Products
(5 results)