2019 Fiscal Year Research-status Report
日本語話者による英語発音コーパスの収集構築と記述的研究
Project/Area Number |
18K00663
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
牧野 武彦 中央大学, 経済学部, 教授 (00269482)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英語発音 / 日本語話者 / 分節音 / プロソディー / 診断用パッセージ / 音連続 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトの大きな目的の一つである日本語話者による英語音声の収集が遅れており、今年度は収集の準備が済んだだけである。そのため、以前の科研プロジェクトで作成していた手持ちのデータ(ERJ Phonetic Corpus)を用いた研究も併せて行った。 このデータに含まれているのは分節音ラベリングのみであるため、一部に対して日本語・英語の中間言語的なプロソディー表記(以前発表した体系をイントネーションのみに単純化したもの)を施した上で、異なるプロソディー環境における英語分節音の実現パターンについて改めて分析し、9月の海外学会(PSLLT2019)でポスター発表した。 音声の収集準備に関しては、本年度で済ませることができた。用いる文セットを確定させるために、様々な音声データベースや発音学習書で用いられている診断用パッセージを、分節音構成・音連続の種類・多様なプロソディーを引き出す可能性などについて分析し、結論としては、これまでの予備的収録で用いたLabovに基づくパッセージが最も優れていることが分かった。これは12月の海外学会(Accents 2019)で口頭発表した。内容をより拡張した上で論文集の一章となる予定である。 プロジェクトの内容には直接含まれていなかったものだが、研究成果を社会に還元するための英語発音学習素材の作成も進めている。その理念と内容について、3月の海外学会(BIMEP 2020)で口頭発表予定であったが、コロナ禍の影響により現地会議は中止、オンラインでのスライド共有という形になった。この発表の内容は、学習素材の完成までは秘匿するべき部分を含むため、学会論文集への投稿の仕方については検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、本年度は③予備的に収集した英語音声について作成したラベリングデータによる、話者の日本語発音と英語発音の関係の調査研究④収録のための文セットの作成と改良⑤音声の収録⑥ラベリング付加によるコーパス構築、を行う予定であった。しかし、昨年度の時点で既に遅れが生じていたため、その遅れが持ち越された。遅れを緩和するために③は今年度の初めに棚上げする方針としたので行っていない。④は完了したが、年度内の遅い時期になってしまったため⑤に移ることはできず、よって⑥を行うことも不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
音声収録用の文セット(パッセージ)が整ったため、新しい年度においては⑤音声の収録を急ぐ。本来であれば専用に購入したヘッドセットを用いて収録する計画であったが、コロナ禍によりそのような形の収録が避けるべきものとなっているため、データベースとして質の揃ったものを集めるという部分は妥協し、収録協力者各自のスマートフォンかPCを用いて収録することにしている。そのやり方では分析のために実用上必要な質を確保できないことが判明した場合は、改めてヘッドセットによる収録を検討する。収録が済めば⑥ラベリングに進むことになるが、今年度は発表のために海外出張できる状況にないため、ラベリングに集中的に時間をかけることとしたい。
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Causes of Carryover |
使途の割合には変更があるが、今年度に関しては元々使う予定であった額に近い支出となっており、次年度使用額は前年度からの繰り越しが主な原因である。それでも、音声収録ができていれば謝金として使うことができたが、収録は実施できなかったため、謝金としての支出もなかった。新しい年度には収録を実施し謝金の支出を行うことを予定している。
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