2021 Fiscal Year Research-status Report
日本語話者による英語発音コーパスの収集構築と記述的研究
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18K00663
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
牧野 武彦 中央大学, 経済学部, 教授 (00269482)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英語発音 / 日本語話者 / 分節音 / プロソディー / 診断用パッセージ / 音連続 / 発音学習教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍が主な原因で、本プロジェクトの目的の一つである、日本語話者による英語音声の収集が遅れている。前々年度終了の時点で、文セットと機材の準備が一応済んでいたが、収集が前年度に引き続いてストップしていた。理由は後の項目で説明する。 本年度行った仕事としては、まず第一に、日本語話者向けのアメリカ英語発音学習教材の刊行(12月)が挙げられる。これは前年度の報告書にも記載したとおり、本プロジェクトおよび、本プロジェクトの前に行っていたプロジェクトの中で行った研究で分かったことの一部(日本語話者の英語に見られる発音上の特徴)を内容に含んでおり、研究成果の社会への還元となっている。これに関連して、本書の内容や意義、および付属音声に含まれる非標準的特徴の扱いについて論ずるための口頭発表を国際会議(3月、オンライン)にて行った。 次に、12月にイギリスで刊行された音声学ハンドブックの中の1章を共著で執筆した。主に英語の発音教育研究に関する総説である。 また、これも前年度の報告書で触れていたことだが、2019年12月開催の国際会議における口頭発表の招聘論文化を継続し、校正まで完了した。刊行は2022年6月の予定である。内容は、学習者の英語音声を研究用に収集するために用いることのできる診断用パッセージを文献からいくつか選定し、分節音構成・音連続の種類・多様なプロソディーを引き出す可能性などについて分析したもので、音声収録の準備の一環となる研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では2020年度に音声の収録を済ませ、その後はラベリングおよび記述的研究を行うはずであった。しかしコロナ禍により、対面かつヘッドセット共用を伴う収録の実行は事実上不可能になった。本年度は長い拘束時間を伴う学内業務があったこと、そして勤務先では前年度に引き続いて対面の授業がほとんど行われず学生がキャンパス内に非常に少ないという状況が続いたため、インフォーマントの募集がままならないという条件も重なり、音声収録を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は対面授業がほぼ全面的に再開され、ヘッドセットも使用ごとに消毒することで共用できる見通しが立ったため、インフォーマントを募集して音声の収録をする予定である。但し、ヘッドセットを用いることに衛生上の抵抗があるインフォーマントについては、各自のデバイスを活用して収録するという方策を採る。デバイスの違いによる音質の差異は、機械による処理にとっては問題でも、人間の耳による分析であれば許容範囲であると判断できるためである。 当初の計画では収録が済めばラベリングに進むことになっていたが、収録そのものが時間集約的な作業であるため、全てをラベリングするだけの時間は残らない可能性が高い。そのため、無理にラベリングをする代わりに、収録に万全を期することとする。
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Causes of Carryover |
音声の収録を進めることができなかったため、インフォーマントへの謝金の支出がなかった。また海外の学会が軒並み中止ないしオンライン開催であったため、旅費の支出がなかった。 本年度は音声の収録を進めるため、謝金を支出する。海外学会での発表も行いたい。
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