2021 Fiscal Year Research-status Report
英語(疑似)法助動詞が使用されるコンテクストの解明とその活用
Project/Area Number |
18K00671
|
Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
長友 俊一郎 関西外国語大学, 英語国際学部, 教授 (50594131)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 英語法助動詞 / モダリティ / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、学習指導要領での到達目標や法助動詞の扱われ方を検証した。次に、法助動詞が多義的であるという意味論的・語用論的見解をまとめ、多義性の概念が、高校生用の教科書に十分に反映されていないケースが見られることを指摘した。mustやmayの(「義務」や「許可」といった)束縛的な意味は挙げられているが、(「推量」や「判断」といった)認識的な意味は紹介されていないものや、willの認識的意味は挙げられている一方で、(「意志」や「能力」といった)力動的意味は挙げられていないものが観察された。この現状が到達目標の達成を妨げている要因となっている可能性に言及し、どのような法助動詞の意味論的・語用論的特徴を学習者に提示すれば、到達目標の達成に近づくのかを議論した。また、義務的な意味を表すmust, have to, had btterに関しても同様プロセスで考察した。 一人称主語と共起するneed toの意味論的・語用論的特徴も考察した。まず、義務づけの「動機づけ」の概念を概説し、動機づけは明示的に言語化されることもあれば、特定の条件を満たせば潜在的に含意されることもあることを述べた。次に、束縛的なneed toが用いられる場合、主語の内的な義務の関与があることを、先行研究から明らかにした。そしてその特徴が、一人称主語と共起するneed toの動機づけの潜在化を可能にすることを主張した。この分析をもとに、メンタル・スペース理論の枠組みで、I need toには、前提の浮遊の関与があることを指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教育指導要領での英語教育の到達目標等と法助動詞の扱われ方を理解することができた。また、その到達目標を達成するには、如何にして英語学の知見を教育の分野へ応用すれば良いのかを論じることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトでまだ取り上げることができていない法助動詞(=たとえば、「散在性」を表すcan)の分析を進め、日本の英語教育への貢献の在り方を検討する。また、先行研究における(疑似)法助動詞の特徴づけに関する問題点を多角的観点から論じる。また、新規に出版された、高校の文部科学省検定済英語教科書における(疑似)法助動詞の特徴づけや、紹介の仕方を検証する。
|
Causes of Carryover |
コロナ渦の影響により、物品費・旅費の支出額が少なった。 モダリティの研究成果をまとめた、研究論文集を印刷予定である。
|
Research Products
(4 results)