2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00676
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
毛利 史生 福岡大学, 人文学部, 教授 (40341490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 磊 福岡大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40614475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 定性 / 類別詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語のような類別詞言語が母国語である英語学習者の定冠詞習熟度を調査した。従来の統語論ベースの冠詞習熟度調査と異なり、定冠詞theに内在される意味概念、「唯一性 (uniqueness)」と「親密さ (familiarity)」の観点から学習者(日本人英語学習者)を調査した。日本語の指示詞である「その」に内包される親密さの意味概念が定冠詞習得に否定的なL1転移を起こすことを想定して調査を行った。つまり、日本語の指示詞による親密さの意味が先行し、唯一性の解釈に不正確性が観察されることを想定をした。しかし、実際の調査で日本語のバイアスによる負のL1転移は観察されなかった。一方で、被験者の習熟度のレベルに応じて「唯一性」解釈の前提となる関連コンテキストの設定にばらつきがあることが判明した。 当年度もう一つの研究として、日本語と中国語の類別詞の統語論・意味論分析に従事した。両言語の比較を通して、類別詞の普遍的側目と個別性を明らかにすることを試みた。Saito et.al(2008)年で両者の統語的な側面は明らかになったが、現在でも、意味的な側面が不十分であると思える。本研究では、類別詞言語の名詞の意味は個体種であることを前提に、類別詞が名詞と結びつく際の意味論的定式化を提示した。名詞を伴わなずして数詞との組み合わせのみで統語的な振る舞いが可能な日本語と、それが不可能な中国語では、類別詞の意味論分析も異なってくる。研究では、両言語の類別詞の統語的・意味論的分析を提示し、類別詞表現の解釈にまつわる部分において両言語の異なる振る舞いも指摘している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年の2月以降、自律神経失調症に伴う様々な症状に苦しんでおりました。年末に向かって症状がよくなり、研究を再スタートしている状況のため、予定よりも遅れている状況です。
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Strategy for Future Research Activity |
日本人と中国人英語学習者を対象にした数詞を伴う名詞句表現に関して研究を行っていく。前年度の研究において、名詞を伴う数・類別詞構造の構造および意味論的定式化を日本語、中国語において提示した。両言語間の違いの一つに、日本語の場合、名詞前方からの数・類別詞句の修飾は集合読みを導出することを指摘している。この点も鑑みつつ、日中の英語学習者の数詞を伴う名詞句表現に関して調査を行っていきたい。被験者の英語表現に母国語からの転移現象が観察されるかにも注目していく。 さらに、研究が予定通り遂行すれば、英語の総称表現に関する研究を進めていく。定冠詞の習得にも絡んだ研究になるかと思うが、総称表現である裸複数名詞、定冠詞+単数名詞、不定冠詞+名詞、さらには亜種解釈を導出する定冠詞+複数名詞など、学習者の総称表現の使用パターンを分析していきたい。
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Causes of Carryover |
研究責任者の体調不良(自律神経失調症)のため、秋口くらいまで十分な研究活動に従事することができず、予定した研究会開催や学会出張、さらには研究メンバーに必要なPC、ソフト等の購入をすべて見送った。そのため、予算の執行を見送ることとなった。 今年度は、研究メンバーのPCを購入し、必要に応じて遠隔研究会議を行う予定である。また遠隔での研究発表も行っていく予定である。コロナ禍の状況次第であるが、海外を含めた学会にて、研究分担者と共に研究成果を発表する予定である。
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Research Products
(1 results)