2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K00676
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
毛利 史生 福岡大学, 人文学部, 教授 (40341490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 磊 福岡大学, 留学生別科, 准教授 (40614475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 部分構造 / インターフェイス研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
部分構文(例 some of the students)に焦点を当てて研究を進めてきた。日本語では助詞「の」を介して対応表現を生成するが、日本人には習得困難な文法構造である。まずは、部分構造の理論構築の研究に従事した。特に、部分構造が内包する三つの制約(部分制約、真部分関係、部分構文全体の(非)定性)を上手く包括する統語的、意味的分析を提示した。研究成果は、日本英文学会関西支部第16回大会シンポジウム英語学部門において発表した。現在、日本人英語学習者の部分構造表現を観察し、構文にまつわる三つの制約の習得過程を観察、調査している。 また、インターフェイス研究の一環として、開拓社より『統語論と言語学諸分野とのインターフェイス』(中村浩一郎(編)」を共著者の一人として刊行した。その中で「統語論と意味論のインターフェイス」の第3章を担当した。ここまでの、名詞、動詞、及び形容詞(主に比較級構文)に関するインターフェイス研究の一部をまとめている。特に名詞句に関しては、今まで従事した日英語の名詞句研究を集約した形でまとめている。日本語と英語の名詞句及び周辺・関連分野に関するインターフェイス研究を整理している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
部分構文(例 some of the students)に焦点を当てて研究を進めてきた。理論研究に関しては、Falcon and Zamparelli (2019)のPRO分析を一部援用する形で理論構築を試みた。従来は、Zamparelli(1995)の内部名詞の移動+削除の一連の操作を仮定する分析、さらには、空の名詞句を仮定する分析などが提案されてきた。PRO分析を含むいずれの分析も、部分構文が多重構造であることにおいて共通している(派生方法はそれぞれ異なるが)。留意すべき点として、部分構造の特徴である、三つの制約を上手く説明する理論を構築する必要があった。先行研究の整理に想定以上の時間を要したため、英語学習者への調査取り組みが遅れてしまった。現在、プラス及びマイナスのL1転移の予想できる現象を想定しつつ調査準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
部分構造が内包する三つの制約(部分制約、真部分関係、部分構文全体の(非)定性)に焦点を当てて研究を進めていく。英語学習者の英語能力と部分構造(特に三つの制約)の習得過程の関連性について調査する。同時に、L1転移(プラス及びマイナスの転移)を想定し、学習者の英語表現の特徴を観察していく。 また、日本語の量化不変化詞(特に「も」)が導出するスケール解釈にも取り組んでいく。実際に英語の中間文法にどのような影響を及ぼすかも考察していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会発表などの出張ができなかったため。今年は、研究成果が得られる見込みのため、研究発表を国際学会で発表する予定。
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