2018 Fiscal Year Research-status Report
所格交替の共時的・通時的発達に関する構文文法的研究
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18K00677
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
石崎 保明 南山大学, 外国語教育センター, 准教授 (30367859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 所格交替 / 構文文法 / 認知言語学 / 文法化 / 語彙化 / 構文化 / 用法基盤モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、これまで議論されることのなかった所格交替(locative alternation)に含まれる動詞およびそれが生起する構文の通時的な発達状況を明らかにすること、および、その通時的変化を、認知言語学・構文文法理論の視点から説明することにより、従来の文法化・語彙化の研究に対する構文(変)化の位置づけを明確にし、構文(変)化理論に対して実質的な貢献を図ることである。 採択期間の初年度となる18年度は、おもに言語事実の発掘に焦点を置き、電子コーパス(e.g. The Corpus of Late Modern English Texts)を利用しながら、特に後期近代英語期(late Modern English)以降における使用と変化の実態を調査した。具体的には、所格交替を許す動詞(群)の中でも代表的なそれであるload、smear、sprayを取り上げ、それらの動詞が生起する構文の歴史的発達状況を詳細に調査した。その研究成果の一部は、日本英文学会中部支部のシンポジウム(通時的構文研究の射程―現状と課題、発表題目:所格交替における構文の歴史的発達)および言語変化・言語変異研究ユニット第5回ワ-クショップ(発表題目:通時的視点から見た英語の所格交替について)にて口頭発表している。 理論研究については、現在のところ、通時的構文文法に対する理論的な研究内容を収集・整理するとともに、文法化や語彙化と構文(変)化と構文化との関係について分析を進めている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は言語事実の発掘と言語変化に対する理論研究の2つに大別されるが、今年度は言語事実の発掘を優先的に行った。所格交替を許す動詞は比較的多いが、その中でも代表的とされるload、smear、sprayの使用の状況を調査し、データを入手することできたことから、おおむね順調に進展しているといえる。また、当該年度内に2件の研究発表を行うことができ、これらの機会を通じて現在の研究状況を周知するとともに、現時点での課題等も確認することができたことからも意義ある成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、load、smear、sprayの言語事実の精査を継続しつつ、それら以外の代表的な所格交替動詞にも調査対象を拡大し、これら3つの動詞との歴史的な発達状況の異同に関して、分析を試みていく。加えて、通時的構文文法理論の問題点を整理するとともに、文法化や語彙化と通時的構文文法との理論的整合性を検討し、得られた言語事実をどのように理論的に理解することができるのかについて、考察を深めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度ではコンピューターの購入を予定していたが、その購入のタイミングを逸してしまったため、翌年度での購入を予定している。
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Research Products
(2 results)