2020 Fiscal Year Research-status Report
所格交替の共時的・通時的発達に関する構文文法的研究
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18K00677
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
石崎 保明 南山大学, 外国語教育センター, 教授 (30367859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 所格交替 / 構文文法 / 認知言語学 / 文法化 / 語彙化 / 構文化 / 用法基盤モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、これまで議論されることのなかった英語における所格交替(locative alternation)に含まれる動詞およびそれが生起する構文の通時的な発達過程を明らかにすること、および、その通時的変化を、認知言語学・構文文法理論の視点から説明することにより、従来の文法化・語彙化の研究に対する構文(変)化の位置づけを明確にし、構文(変)化理論に対して実質的な貢献をすることである。 採択期間の3年目となる20年度は、過去2年間に調査した代表的な所格交替動詞であるload, smear, sprayの特に初期近代英語における歴史的発達を、通時的構文文法理論の観点から説明を試み、その内容を『文法化・語彙化・構文化』(小川芳樹・石崎保明・青木博史による共著、開拓社)の第I部第5章で公表した。 本年度は、理論研究として、構文文法理論における交替現象の位置づけについても調査を行った。しかしながら、もう一方の研究の柱である言語事実の新たな発掘については、今年度においては、十分な成果を得るには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、過去2年間に準備してきた共著を1冊出版することができたのは、大きな成果であると考えている。他方、今年度に関しては、コロナ禍により本務校での業務に多大な時間を費やすことになり、本研究の重要な柱である言語事実の発掘と言語変化に対する理論研究の両方について、十分な研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍はいまだ収束の気配が見られず、厳しい研究環境は今後も継続される見込みであるが、そのような状況でも、研究を継続できる環境が、徐々にではあるが、整いつつある。今後は、load, smear, spray以外の代表的な所格交替動詞にも調査を拡大し、所格交替動詞を含む構文の発達過程を精査していく予定である。通時的構文文法理論において、ある対象となる構文は、他の関連する構文とは独立して発達していくわけでなく、他の構文に影響を受けて誕生したり発達したり消失したりすることがあることから、特に所格交替を含む構文が発達した後期近代英語期における使役構文の発達についても、今後は調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍により、予定していた海外での資料調査ができず、また本務校での業務過多により研究に費やす時間を確保できず、書籍や資料の購入も十分にはできなかった。さらに、当該年度にコンピューターの購入を予定していたが、その購入のタイミングを逸してしまったため、翌年度での購入を予定している。
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Research Products
(1 results)