2019 Fiscal Year Research-status Report
学生は多機関との連携にどう関わることができるか-外国人児童生徒の支援に向けて-
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18K00686
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
川口 直巳 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60509149)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外国人児童生徒 / 大学生 / 連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学と連携している市の小中学校で、外国にルーツを持つ子ども達へのボランティア活動を行っている愛知教育大学の学生達が、「乳幼児期から青年前期までの多機関との連携にどのような役割を果たせるか」を明らかにし、一方方向からになりがちな連携から「学生の関わり」による双方向の連携の実現に向け、2019年度は主に下記の2つの取り組み(調査)を行った。 1つ目の取り組みは、ブラジル人学校の児童生徒との交流である。これまで行ってきた本学の学園祭への参加の仕方を変えることにより、本学の学生の意識を変化させようと試みた。一昨年までは、ブラジル人児童生徒だけでダンスを踊るという学園祭でのステージ参加だったが、昨年度は本学のダンス部とのコラボレーション企画として、一緒にダンスを踊るという方法でステージに参加した。これにより、ダンスを通じて短時間で交流を深めることができ、お互いの距離感が縮まった。その後、本学の学生は、ブラジル人学校の見学を希望するなど、日本にいる外国人児童生徒について知ろうとする意識の芽生えが観察された。 2つ目の取り組みとしては、ペルーへのスタディーツアーの実施である。まず、ペルーリマの日系人学校2校で、学生達が全く理解できないスペイン語での教科学習の授業を体験した。これにより、日本語が分からないまま教科学習の授業を受けている日本の外国人児童生徒の気持への理解につながったと思われる様子が観察された。どのような授業ならスペイン語が分からなくても理解できるかを考えるなど、現地で実際に授業を受けることで様々な発見ができていた。また、学生達は将来教員を目指しているためか、教え方や学習内容(日本との違い)の方に強く意識が向いていたことは興味深い発見だった。さらに、日本滞在経験のある若者との交流を通じて、彼らがどのように日本を捉えている(いた)のか知りたいという、他者への興味が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的である「学生の関わり」による双方向の連携の可能性を追求するために、学生と学生達を受け入れている機関の調査から、具体的にどのような連携ができるかを検討してきているが、年度末からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校教育課や各学校、学生への聞き取り、情報共有会などができなくなった。最終年度に向けてのシンポジウムの開催の計画も昨年度から検討していく予定であったが、こちらも進めることができない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、前年度までの調査結果を生かし、a~dに取り組む予定である。a学生達による新たな連携に向けての提案と実施。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、学生が学校現場に出向くことができない状況であるため、直接的な日本語指導ではない関わり方を早急に模索し実施に導く。b昨年度までのブラジル人学校との交流とペルーでのスタディーツアーのまとめと発信。c昨年度末に予定していた情報共有会の実施。これまで行ってきた学生の関わりによる連携を目指した活動において、学生と受け入れ機関、サポート側である大学との情報を共有する会を開催。dシンポジウムの実施。研究最終年度であるため、学生の関わりによる新たな連携体制構築の提案を、これまでの研究活動の成果を紹介するとともに行い、第三者の評価者を含め、様々な機関と建設的な話し合いをする場として開催する。 最終年度は、これまでの取り組みや調査から、もっと柔軟に学生達の様々な関わり方における可能性を探っていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度末に予定していた情報共有会が新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となったため、予定していた旅費等の一部を次年度使用することにした。
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