2018 Fiscal Year Research-status Report
The "Nikkei Citizen" and Japanese Language Education: With a Focus on the Prewar and Wartime Periods on the West Coast of the United States
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18K00696
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森本 豊富 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30230155)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本語学校 / 日本語讀本 / 北米日系人強制収容所 / 言語維持・言語変化 / 言語・文化継承 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、国内においては東書文庫(東京書籍)と和歌山市民図書館移民資料室において日本語讀本に関する調査をする予定であったが、変更して早稲田大学中央図書館マイクロフィルム資料室所蔵のWar Relocation Authority(戦時転住局)関連史料にある史料を中心に調査した。その意図は、戦中の収容所内における日本語・日本文化維持状況を早く知りたいとおもったからである。一方、戦前にワシントン州およびカリフォルニア州において編纂された『日本語讀本』に関しては、2017年10月にスタンフォード大学フーバー研究所において発表した内容をもとに論文を執筆した。論文はAnderson, V. and Johnson, H. (Eds). Migration, education and translation: Cross-disciplinary perspectives on human mobility and cultural encounters in education settings. Abingdon: Routledge.(2019年度出版予定)の一章として採択され執筆し校正をほぼ終えることができた。 戦中期の日系人の言語・文化継承状況については、前述した早稲田大学中央図書館マイクロフィルム資料室の他に、国立国会図書館憲政資料室、UCLA リサーチライブラリーおよびスタンフォード大学フーバー研究所での調査結果をもとに、2019年4月16日にサンフランシスコで開催されたComparative and International Education Society (CIES 2019, 63rd Conference)のセッションにおいて発表した。発表では10箇所の強制収容所における日本語教育の有無や言語・文化維持状況について概観するとともに、唯一隔離収容所となったTule Lake Segregation Campの国民学校についてふれた。強制収容所内における日本語・日本文化維持状況については、不明な点が多く課題が山積している。次年度以降も資料を発掘することにつとめながら、断片的な事実をつなぎ合わせていく努力を続けていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、① 5月ー7月は「東書文庫」(東京書籍)所蔵の『尋常小學讀本』、和歌山市民図書館移民資料室、国立国会図書館所蔵の日本語讀本関連資料について精査する。② 8月ー9月はワシントン大学図書館(シアトル)、スタンフォード大学フーバー研究所ライブラリー&アーカイブス、UCLA リサーチライブラリースペシャルコレクションにおいて関連資料を調査する。戦前、戦中期の邦字新聞や裏付け史料を調査する。③ 10 月ー3月は東書文庫での調査結果とシアトル、パロアルト、ロサンゼルスでの史料調査を比較対照しながら、「日系市民」教育の要素を抽出する。以上の3項目について実施する予定であった。 2018年度は、特に②の海外での調査を充実させることができた。UCLA図書館スペシャルコレクションにおいて戦前の日本語学校関連史料、スタンフォード大学フーバー研究所において戦時中の強制収容所内での教育プログラムに関するカリキュラムなどについて、それぞれ関連史料をデジタルカメラで撮影できたのは大きな収穫であった。 また、北米日系人収容所のひとつであり、後に唯一の隔離収容所となったツーリーレイク隔離収容所に設置された国民学校および公立学校の両方で学んだ経験のある日系二世にカリフォルニア州サンノゼで聞き取り調査を実施することができた。国民学校で使われていたガリ版刷りの教科書が数冊フーバー研究所に所蔵されており、隔離収容所の国民学校教育について知見を得ることが出来た。 国内では予定していた和歌山市民図書館および東書文庫での資料調査にかわり、早稲田大学中央図書館マイクロ資料室において強制収容所関連の戦時転住局(WRA)のフィールド・ドキュメントの中から数カ所の収容所の教育関連プログラムを中心に複写できた。
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Strategy for Future Research Activity |
戦前の日本語学校、日本語教科書についてはAnderson, V. and Johnson, H. (Eds). Migration, education and translation: Cross-disciplinary perspectives on human mobility and cultural encounters in education settings. Abingdon: Routledge.の分担章"Education for Nikkei citizens in pre-war America: Japanese Language Schools and texbooks in California and Washington"で執筆した内容をさらに深めるために、シアトル版およびカリフォルニア版の日本語讀本の内容分析を続けていく。 北米日系人収容所内での言語・文化維持状況についてはComparative and International Education Society (CIES 2019, 63rd Conference)での発表では明らかになっていない点について調査を進める。具体的には、(1)スタンフォード大学教育学部が作成した収容所内でのカリキュラムがどの程度10箇所の収容所で採用されていたのかを調査する。(2)一世、二世、帰米、そして男女間で日本語・日本文化の継承にどのような違いが見られたのかについて具体的事例をWRA関連資料などをもとに調査する。(3)ツーリーレイク隔離収容所の国民学校教育は具体的にどのような内容で実施されたのか、入手できた資料の他にも手がかりを見つけるように努力する。 以上の3点についてより詳しい状況を知るために資料発掘と分析に努めていきたい。また、昨年度に収集した様々な図書館、アーカイブスの資料を改めて精査し整理・分析することも計画している。
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Causes of Carryover |
特別研究期間を利用して前倒し支払を請求し、当初の計画よりも予算を拡大することによって海外調査における成果があがった点は有り難かった。しかし、出張旅費が予定していた額より若干下回ったため差額が生じた。
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Research Products
(1 results)