2019 Fiscal Year Research-status Report
The "Nikkei Citizen" and Japanese Language Education: With a Focus on the Prewar and Wartime Periods on the West Coast of the United States
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18K00696
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森本 豊富 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30230155)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 言語・文化継承 / 日本語学校 / 日本語讀本 / 北米日系人強制収容所 |
Outline of Annual Research Achievements |
戦前のワシントン州とカリフォルニア州における日本語学校・日本語教科書に関する分析は、Anderson, V. and Johnson, H. (Eds.) Migration, Education and Translation: Cross-disciplinary Perspectives on Human Mobility and Cultural Encounters in Education Settings.(New York: Routledge 2019年1月出版)の12章に"Education for Nikkei citizens in pre-war America: Japanese language schools and textbooks in California and Washington"(pp.174-185)として成果発表することができた。 今年度は、2018年度の成果としてComparative and International Education Societyでの学会発表"Language and cultural maintenance efforts among Japanese Americans in incarceration camps during World War II"の内容を発展させるために、特に収容所内発行新聞記事を手がかりに日本語・日本文化維持状況について分析を進めた。海外での調査は2020年3月にボストンでの学会発表時にあわせて実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で渡米が不可能となり実施できなかった。 2020年3月20日にボストンで開催予定であったAssociation for Asian Studies(AAS,アジア研究協議会)において”The Material Life of the Archive: Promises and Challenges in Documenting the Japanese Diaspora”のセッションで発表する予定であったが、前述したとおり新型コロナウイルス感染拡大のため大会そのものがキャンセルになった。別の機会(2021年3月ワシントン州シアトルで開催予定のAAS)での発表を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、(1)4月ー7月:東書文庫、和歌山市民図書館移民資料室、国立国会図書館などで、北米で編纂・発行された「日本語讀本」が参考にした国定教科書について継続して精査する。 (2)8月ー9月:前年度の海外調査におけるアーカイブスを海外で継続調査する。 (3) 10 月ー3月:前年度の調査結果を参考にしながら、戦前期と戦中期の比較調査を行う。以上の3項目について実施する予定であった。 (1)については、国定教科書に関する先行研究を過去の科研報告書や論文、著書を参考に整理した。コロナウイルス感染拡大で2020年3月は国立国会図書館が閉鎖となったため、7月までに実施できなかった調査の補完的調査は実行できなかった。オンラインで入手できる資料を中心に調べた。 (2)に関しては、諸事情により夏季休業中に海外調査を実施できなかった分、2020年3月のボストンでの学会発表にあわせて行う予定であった。しかし新型コロナウイルス拡大のため学会が中止となり渡米そのものが不可能となったため調査についても実行できなかった。したがって、本年度においては2019年4月のサンフランシスコでの学会発表を除いて海外調査は実施できなかった。この期間は、主に国内において前年度に収集したデータを整理・分析することに努めた。 (3)戦前期については、「研究実績の概要」で述べた2020年1月に出版された英文書Migration, Education and Translation (2020)所収の論文で成果発表できた。したがって、今年度は戦中期に焦点を移し、強制収容所における日本語・日本文化継承状況について、前年度にスタンフォード大学フーバー研究所で入手したツーリーレイク隔離収容所内で使用していた日本語学校関連史料等、手元にある文献資料の調査を進めた。戦前期と戦中期の比較は翌年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、軸を戦中期におき、 10箇所あった収容所間でどの程度の相違があったのかに焦点を定めて次のような調査を進めていきたい。 (1)戦時転住局関連資料(国立国会図書館所蔵および早稲田大学中央図書館マイクロ資料室所蔵マイクロフィルム資料)を中心に3箇所の強制収容所に関するWRA(戦時転住局)管理資料、仮収容所および収容所内発行の新聞を精査する。また、Austin, A.W.(2004)From Concentration Camp to Campus.やBishop, R.(2015)Community Newspapers and the Japanese-American Incarceration Camps.などの先行研究にあたり、収容所から東部、中西部の大学に入学した二世大学生、各地収容所の所在する込みニュニティの地元紙に関する研究からより詳しい情報を入手したい。 (2)新型コロナウイルス感染拡大の収束状況によって海外調査はさらに延期せねばならない可能性はあるが、渡米が可能になれば、カリフォルニア大学バークレー校バンクロフト・ライブラリー、スタンフォード大学フーバーインスティテューション、UCLAリサーチライブラリースペシャルコレクションJARP コレクションを調査する。戦前、戦中期の邦字新聞や裏付け史料を調査する。 (3)邦字新聞デジタルコレクション(スタンフォード大学フーバー研究所)所収のコロラド新聞の記事などを精査し戦前・戦中期の日系コミュニティの日本語使用・日本文化継承状況を把握する。 (4)2020年3月開催が中止となったボストンでのAAS学会発表を2021年3月に予定されているシアトル大会で発表出来るように準備していきたい。海外発表及び調査が難しい場合は、2018年の海外調査で収集したデータを整理し分析することに専念したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年3月にボストンで開催予定であったアジア研究協議会(Association for Asian Studies)が中止となり、学会発表のための海外出張費として計上していた予算の執行ができなかった。
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Research Products
(1 results)