2018 Fiscal Year Research-status Report
コーパスツールユーザーを育成するための教材開発とその検証
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18K00701
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
寺嶋 弘道 立命館アジア太平洋大学, 言語教育センター, 准教授 (90454967)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コーパスツール / 教材開発 / ライティング / コロケーション / 文法 / 辞書 |
Outline of Annual Research Achievements |
ここ10年ほどの間で大規模なコーパスを搭載し、そのコーパスに含まれる表現や例文が検索できるコーパスツールと呼ばれるものが立て続けに登場している。このツールの強みは、辞書では得られないような語同士の共起関係(以下:コロケーション)を統計的かつ網羅的に表示でき、実際の用例の情報を得られる点である。日本語教育分野では、日本語学習者(以下:学習者)のライティング時の支援でその効果が期待されており、これまでの先行研究では、コロケーションの選択における有効性が示されてきた。しかしながら、学習者がコーパスツールの機能やその使用法、統計値が示す意味、検索語の適切な選択方法、使用における問題点等を理解していなければ、その効果を最大限に引き出すことは難しいと考えられる。そうした背景から、本研究では優れたコーパスツールユーザーを育てるための教材開発を目指している。 2018年は、コーパスツールと辞書の連携が不可欠であるという観点から、辞書に焦点を当てた研究を行った。コーパスツールは辞書機能を備えていないため、学習者は、ライティング時に辞書とコーパスツールを併用することが多くなる。まずは、学習者の辞書の使用実態や辞書の傾向、問題点を明らかにし、その知見を基に辞書とコーパスツールの効果的な併用方法を提案する教材を作成していく予定である。2018年度の研究の内容と手順は以下の通りであった。 前半期は、辞書や辞書の使用に関連する文献の整理を行った。また、日本語学習者を対象にし、普段、使用している辞書、ライティング時に使用する辞書やその使用目的、辞書に対して感じている問題についてアンケート調査を行った。後半期は、アンケート調査の分析に加え、学習者によく使用されるスマートフォン辞書アプリにおいて検索した場合、該当する言葉が適切に表示されるか、どのような例文が表示されるかを調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート回収後のフォローアップインタビューについては実施できなかったが、それ以外は予定通り進めることができた。まず、前半期のアンケート調査においては、307名(初級80名、中級76名、中上級57名、上級94)からの回答を得て、初級・中級レベルと中上級・上級レベルの学習者の辞書使用における傾向を明らかにした。後半期は、初級・中級でよく使用される「Google Translate」、中上級・上級レベルでよく使用される「imiwa?」を用いての調査を行った。具体的には、日本語能力試験の3級・2級レベルの100語を選定し、対訳語での検索でその100語が表示されるかを調査した。また、「imiwa?」においては、その100語で表示される例文の調査を行い、例文の適切さや問題を明らかした。以上の研究は、研究協力者である板井芳江氏(立命館アジア太平洋大学)と行い、その成果を日本語教育方法研究会にて報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、前年度の研究におけるデータを増やし、これまでの研究結果と一致するのかを検証する。また、文法やコロケーションの誤用に関する文献を整理し、コロケーション・文法に焦点を当てた教材を作成する。さらに、日本語学習者を対象にしたワークショップを開催し、その教材の効果を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
概ね予定通りに研究を進めたが、少額の繰り越しが発生した。繰り越したものについては、書籍購入費に充てたい。
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Research Products
(2 results)