2019 Fiscal Year Research-status Report
コーパスツールユーザーを育成するための教材開発とその検証
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18K00701
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
寺嶋 弘道 立命館アジア太平洋大学, 言語教育センター, 准教授 (90454967)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コーパス / コーパスツール / コロケーション / ライティング / ワークショップ / 教材作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究協力者である板井芳江氏(立命館アジア太平洋大学)とともに、コーパスツールワークショップで使用するための教材の作成を進め、ワークショップを開催した。作成した教材は日本語学習者に、①本研究者らの辞書に関する研究成果を共有し、辞書の問題について考えてもらう、②コーパスツールの基本的な使い方や使用の際の注意点を学んでもらう、③言葉や文法の選択においてコーパスツールを使用してもらい、辞書を補うリソースとしてコーパスツールの有効性を理解してもらう、ことを目的にしたものである。本教材は、大量の情報が日本語のみで表示されることで、文脈に合わせたコロケーションを見つけくいというコーパスツールの問題点を踏まえ、ツール上で使用可能なポップアップ辞書の使い方を提示するとともに、エッセイを書く前にツールを用いて語彙ネットワークを作成してもらうという特徴もあった。 ワークショップは2週(1回2時間)で構成し、1週目に辞書、2週目にコーパスツールをテーマとして扱った。参加者は中上級レベルの学習者で、全体で38名となった。コーパスツールの使用に関しては参加者から高い評価を得ることができたが、産出された語彙ネットワークやエッセイを見ると、うまく活用できた者とそうでない者の差が見られた結果となった。その原因としては、コーパスツールの構造が複雑でわかりにくいこと、選択できるコロケーションのパターンが多くあること、どのようなエッセイを書くか十分にイメージできていなかったこと、多様な表現を用いることへの意欲が低かったこと等が考えられた。現在、このワークショップの取り組みに関する報告に向け、準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、2019年度に進めるべき教材の作成を行い、ワークショップを開催することができた。また、本研究者が担当する授業の中で、コーパスツールワークショップの教材を取り入れる試みも実現した。しかしながら、ワークショップの開催時期が遅れ、年度内にワークショップの取り組みについて研究会で報告をすることが実現できなかった。また、コロナウィルスの影響で、発表申請を予定していたカンファレンスが延期されている。以上から、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はこれまでの参加者の観察や産出、評価を踏まえ、教材の修正を行うとともに、新たに類語を分析するための2語比較検索の使い方やその機能を活かしたタスクを作成し、教材に追加する予定である。また、この教材を用いたワークショップを開催する予定である。研究発表に関してはコロナウィルスの影響で学会・研究会等の開催がどうなるか予想できないため、論文(実践報告)での報告も検討している。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で3月に予定していた研究会が中止され、研究代表者、研究協力者の研究会への参加ができなかった。2020年度は研究会の開催されるかどうかわからないが、当初の予定通り、出張旅費4回分、研究協力してくれた学生への謝礼、文字起こし費用、デジタル教材作成のためのソフトウエアの購入等で予算を使用することを考えている。
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