2019 Fiscal Year Research-status Report
子どもの日本語教育の実践・研究のための「プラットフォーム」構築に関する研究
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18K00710
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
齋藤 ひろみ 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (50334462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 麻里 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80228543)
池上 摩希子 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (80409721)
石井 恵理子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (90212810)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多様な言語文化背景を持つ子どもたち / プラットフォーム / 教育実践と研究の相互作用 / 日本語・母語・継承語教育 / 参加のためのことばの教育 / 目標構造・内容構成 / 実践・研究のリソース化 / 子どもの日本語教育研究会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多様な文化背景をもつ子どものための日本語・母語・継承語教育・支援の質を高めるように、教育実践と研究とが相互補完的に展開していく「プラットフォーム」の構築を目的とする。2019年度は2018年に構築した関係者ネットワークを土台に、現場の多様なニーズに応じた学びと交流の場の提供を試みた。 具体的には、本科研事業「子どもの日本語教育研究会」の各イベントを、教育実践と研究とが交差する場としてデザインした。例えば、2019年8月に広島市立基町小学校で実施したワークショップでは、「教室でのコミュニケーション」「JSLカリキュラムに基づく実践」「子どものことばの学びを描く」ための演習を行い、「インクルーシブ教育システムの構築-日本語教育との連携を目指して」と題する講演を行っている。現場の最前線の課題を取り上げ、研究知見を提供し、実践力向上のための場を設けた。会場では、全国各地から参加した学校現場・地域支援現場、大学関係者等により、多様性と相互作用のある空間が構築されていた。ただし、残念ながら2019年10月12日(土)に予定していた研究会は台風により、2020年3月14日(土)開催の準備をしていた大会は新型コロナ感染防止のために、集合形態での実施は見送らざるをえなかった。そこで、公募した研究・実践発表31件の要旨とポスター(有志のみ)をwebサイト上で公開し、実践・研究の交差空間をサイバー上に設けた。 もう1つの目的「子どもを対象とする日本語教育のガイドライン作成」については、2019年より、二つのプロジェクトチームを構成し、「実践リソースバンク」の構築と「参加のためのことばの教育」の検討をスタートさせた。3月には、「実践リソースバンク」構想について、一般の参加者を募り、公開で検討を行った。 上記成果はジャーナル「子どもの日本語教育」第2号の寄稿論文として公開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年10月の台風襲来、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた研究会(219年10月12日(土)、東京都港区立笄小学校において実施予定)・大会(2020年3月14日、お茶の水女子大学で実施予定)については、現地集合型で実施することができなかった。そのために、メンバーでの打ち合わせ・検討会なども行うことができず、研究の進捗に多大な影響が出た。特に、実践の集積とその分析をもとに進める予定であった、目標構造・内容構成のボトムアップによる検討には遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の2回に亘る研究会・大会の会場開催の中止によって、先延ばしになっていた次の調査を実施する。①実践・研究のためのプラットフォームの要件に関し、アンケート及び聞き取り調査を実施する。②プロジェクトチーム(「実践リソースバンク」構築チーム)により、実践および研究成果の収集と取り組み・テーマの分析による課題の構造化、実践・研究のリソース化を進める。 次に、新たな取り組みとして、次の二つに着手する。③プロジェクトチーム(「参加のためのことばの教育」検討チーム)により、関連研究領域である発達心理学、バイリンガリズム、異文化間教育学等の知見を参照し、「参加」概念を軸に、日本国内の多文化背景の子どもの日本語教育の目標の構造化と内容の体系化について検討を行う。④「子どもの日本語教育研究会(本科研により運営している事業)」において上記②の取り組みの成果を公開すると同時に、参加者が交流してリソースを相互に活用したり、共同体を作ってリソースを開発・更新したりできる仕組みづくりを試みる。また、最終年度に向けて、プラットフォーム型のリソースwebサイトを構想し、現Webサイトの改修についてデザインする。 なお、上記調査結果・作業結果・検討結果については、ジャーナル「子どもの日本語教育研究」第3号及び4号に掲載する。
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Causes of Carryover |
現地集合型での開催を見送った2019年10月の研究会、2020年3月の大会のために予算化していた講師謝金、講師旅費、会場賃貸料が発生せず、その分を次年度使用額とし、繰り越すことにした。
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Remarks |
本科研事業として運営している「子どもの日本語教育研究会」のWebサイトで、年3回のイベント(大会、研究会、ワークショップ)の広報、及び発表された実践・研究の要旨・ポスターなどをリソースとして利用できるように公開している。また、研究会誌である「ジャーナル 子どもの日本語教育研究」を、このWebサイトでオンライン発行している。
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