2019 Fiscal Year Research-status Report
VAシャドーイング法の知見に基づいた発達段階に対応できる日本語指導モデルの開発
Project/Area Number |
18K00717
|
Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
中山 誠一 実践女子大学, 文学部, 教授 (10552763)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 博之 実践女子大学, 文学部, 教授 (20252942)
寺本 貴啓 國學院大學, 人間開発学部, 准教授 (50585114)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | VA シャドーイング法 / 日本語教育 / 日本語指導モデル / 日本語VAシャドーイング教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年日本では日本語を第二言語とし、日本語力が発達段階に追いついていない児童・生徒数が急増しており、こうした児童・生徒に対して、漢字の「読み方」の学習を効果的に進め、文章理解力をいかに高めていくかが喫緊の課題となっている。この課題について、我々はこれまでに漢字の「読み方」の習得に対し「音声」と関連づけて学習を促進する VA シャドーイング法を開発し、漢字圏・非漢字圏の日本語学習者を対象に、その効果を実証的研究により明らかにしてきた。しかしながら、VA シャドーイング法が日本語の文章理解力の向上に効果を発揮するかに関する先行研究は見当たらない。こうした背景を踏まえて本研究では、日本語を第二言語とする児童・生徒を対象に、漢字の「読み方」だけでなく、日本語の文章理解力を向上させる新しい VA シャドーイング法を検証し、発達段階に応じた合理的かつ効果的な日本語指導モデルを開発する。本年度は、大きく分けて2つの研究実績を得ることができた。まず第一に、昨年度から取り組んでいたVAシャドーイング法の発達段階にある学習者に対する有効性について検証し、VAシャドーイング法はどの発達段階でも効果を発揮するが、特に学童期後期から青年前期(日本語学習歴が長い)に効果があることが判明した。第2に、こうした研究結果を踏まえて、昨年度達成できなかった課題である、学童期前期から学童期後期の児童を対象とした、理科に関する日本語VA シャドーイング教材(全162種類)を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本語VA シャドーイング教材はほぼ完成したが、実地調査と効果測定を行うテストの開発が遅れているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度については、学童期全体を見通した日本語指導モデルの検証を予定している。そのためには、本年度作成した日本語教材を実際の現場で活用し、その効果測定を行う必要がある。しかしながら、前期については、コロナ感染問題により、現地の学校が安定して開校できるか、あるいは、調査者が現地調査に出向くことが可能かについてかなり不安がある。そこで、前期は、作成した日本語教材の効果測定のためのテスト開発を先に行う。その後、後期に現地調査を実施しながら、同時に、テストの妥当性と信頼性の確認を行う。ただし、先述したコロナ感染問題の解決状況を逐次確認しながら、研究内容については、臨機応変に対応するつもりである。
|
Causes of Carryover |
来年度使用額が生じた理由は、当初購入を予定していた書籍類等が、研究の遅れにより、今年度購入する必要がなくなったためである。したがって、今年度の残金は、こうした書籍類等の購入に来年度充てる予定である。
|