2018 Fiscal Year Research-status Report
JSL児童の日本語の学びを支える実践研究-「ことばの力」を育む算数学習の実際-
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18K00720
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
池上 摩希子 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (80409721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 ひろみ 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50334462)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | JSL児童 / 教科指導 / JSLカリキュラム / 内容重視(CBI) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては,次の2点を課題に据えている。 1)JSL児童に対してどのような日本語支援を行うことが,算数科の学習内容の理解を進めることになるのか。 2)支援者は算数科の支援と日本語の支援をどのように認識し,どのように支援を進めていたか。 研究初年度にあたる平成30年度には,1)を見るために,東京都墨田区のA小学校におけるJSL算数科の研究授業を対象に,授業観察と授業へのコメント等を行い,学校教員との協働的実践のかたちで進めた。2)に関しては,静岡県浜松市内にあるJSL児童対象の算数科支援教室Bへの働きかけを続けた。研修会というかたちで実践の記述の仕方に関するアドバイスを行い,その過程で探索を行っている。算数科の学びは言語を支えとする認知的な能力が前提となっている。すなわち,言語で示された課題を式や図で表し課題解決を図る,式や図で表された内容を理解し言語で表現する,といった活動が求められる。算数科の活動に参加することを通して,思考の「道具」として言語を用いる能力を活性化し伸ばす実践を引き続き推進していく。また,研究者は積極的に実践に参与し,課題解決過程での動的なネットワーキングの一部となる。このことによって「協働的実践研究」を試み,課題の解決を図り成果を共有している。 昨今の社会の動向から考えても,日本の学校教育現場で学ぶJSL児童が増加することは目に見えている。JSL児童の日本語の力を伸長し,教科学習の文脈で認知的な活動を行えるよう支援する必要がある。教科内容と日本語を統合し,学習活動に参加できるように支援することは,日本語教育が解決すべき課題であり,本研究においても継続的に取り組んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
評価としてこの達成度を上げた理由としては、第一に、B教室の支援者が作成した活動事例の収集がほぼ終了し、事例集として編集を行う過程に入っていることが上げられる。申請当初の予定としては初年度のうちに発行したいと考えていたが、パンフレットのような冊子形態ではなく、正規の出版物としての刊行を視野に入れることが可能となったので、原稿のデータ化までを30年度内に終わらせた。 第二に、30年度末のA小学校の校内研修の際に、先生方とお話ができた内容から判断した。具体的には、「算数科の授業を考えるうえで、日本語の『ねらい』と『活動』をより明確に示せないか」といった課題を先生方から投げかけていただき、次年度、共同で研究を進めたいとの提案がなされた。よって、31年度には冊子の正規出版と共同研究事業といったより具体的な目標をもって、研究活動に取り組むことが可能となっているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度には、上記の【現在までの進捗状況】にあげた課題の達成を目指して研究活動を続けていくことになる。推進方策としては、 a) A小学校と教室Bとの関わりを継続し、研究授業や研修会に参与する b) 事例集の出版に関しては、教室Bを訪れてその場で内容の確認やフィードバックを行うことで、課題2)に迫れるようにする c) 共同研究事業に関しては、研究発表というかたちで外部に成果を公開する機会を意識的に設け、それを目標に協働で成果をまとめあげていけるようにする といったことが考えられる。
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Causes of Carryover |
初年度(30年度)中に事例集(パンフレット)を印刷、配布する予定で予算立てをしていたが、次年度にはよりよい形で出版できる目途が立ったため。 基本となるデータはほぼ収集できており、デジタル化も概ね終了したが、次年度にはさらにそれらを原稿として整えていく必要があるので、そのための予算として計画している。
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