2018 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者の音声習得 ー文字表記が持つ情報との関連性―
Project/Area Number |
18K00727
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
本橋 美樹 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (80411560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石澤 徹 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 講師 (00636095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 第二言語習得 / 音声 / 文字 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの初級日本語学習者は「りょうこ(旅行)」「とうしょかん(図書館)」と皆同じように書き誤る。そのような誤りは、学習者がその単語を音声的にどのように知覚しているか知る上での重要な手がかりではないだろうか。本研究は、学習者がどのように日本語の音声を認識しているかを文字表記による書字情報という先行研究になかった観点から検証する。具体的に以下の点を調べる。(1)同一の学習者から聴取、発話、表記のデータを収集することにより、学習者は文字表記による情報を音声的な情報とどのようにマッピングできているかについて検証する。(2)文字表記による情報がある場合と無い場合に音声習得に違いがあるか、縦断的にデータ収集することにより文字表記は音声習得を促すか明らかにする。(3)英語母語話者における先行研究では母語が表音文字か表意文字かで習得の速度に違いがあった。そのため日本語においても母語の違いによって学習効果に違いがあるかを検証する。平成30年度は、特に(2)を検証するための前調査として、関西外国語大学に留学中である初級日本語学習者17名を対象に、データ収集を行った。調査の流れは①プレテスト(聞き取りテスト)を行い、②日本語の音の単位とひらがなの対応を明示的に説明したレクチャーと練習を20分、その後③ポストテストを行った。その結果、レクチャー後の聞き取りテストに効果が見られ、ひらがなを使った音声教育の可能性を示唆するものになった。また、調査後に行ったアンケートにより、学習者自身がこのような音声教育を肯定的に受け止めていることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ収集にあたり、どのような方法が効果的か検証するのに時間がかかり本実験に至らなかった。現在、準備中で秋には本調査のデータ収集を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
前調査で行ったレクチャーと練習は20分、1回のみなので、学生の能力が向上したとまでは言えないが、プレテストとポストテストの比較により、ひらがなと拍の関連に意識を向けさせることへの効果がある程度見られた。この結果をふまえて、本調査として今後は長期的な効果を狙った指導法を試みる予定である。また、このデータ収集の結果を纏め、学会等で報告する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた実験が行えなかったため、謝金充当分などが未使用分として残った。 (使用計画) 引き続き、データ収集のための経費と実験参加者への謝金として使用する。 また、研究成果報告のための投稿、学会参加の経費としても使用する。
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Research Products
(1 results)