2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00728
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
高橋 朋子 近畿大学, 語学教育センター, 准教授 (30635165)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 夜間中学 / 外国人生徒 / 生きる力 / 日本語教育 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、夜間中学における学生の意義と学びを検証することである。 平成30年度の計画は、①文献収集、②夜間中学の参与観察、③できれば生徒のインタビューであった。①については、書籍の購入、ウェブ資料の閲覧、研究会への参加などを通じて多くの文献を収集することができた。さらに読み進めていくつもりである。 ②については、10月より東大阪市にある長栄夜間中学B組で毎週、授業観察や生徒との交流を行うことができた。長栄中学が市の政策により、統合され2校に分かれる最後の年であったため、修了式や卒業式以外に統合のための記念大会にも参加することができた。そこで、夜間中学に関わってきた多くの卒業生たちに出会うこともできた。長栄夜間中学での授業観察で、夜間中学がこれまで持っていた意義ー戦争や病気で中学に通えなかったもの、歴史的な事情から読み書き教育を受けなかったものへの補償教育ーから離れ、外国人生徒が生きる力を培うための学びの場となっていることが観察された。これは大きな収穫である。 ③については数名の生徒とのおしゃべりや立ち話、メールの交換から少しずつ情報を得ることができている。次年度以降につなげるための研究の基盤ができた。引き続き、新夜間中学での参与観察を積極的に進め、学会発表や論文執筆を通じて、夜間中学の変容を発信するつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の計画では、①文献収集、②国内の夜間中学の参与観察、③生徒のインタビューであった。①については夜間中学や成人学習に関する多くの書籍を購入し、情報を収集することができている。②については東大阪市にある長栄夜間中学での授業観察が平成30年10月から可能になり、1週間に1回観察を行った。そこでは、授業の観察や校長先生のインタビュー、生徒へのインタビューを行うこともできた。また担任の教員が非常に積極的に観察を受けいれてくれたため、生徒とのコミュニケーションも順調にとることができた。夜間中学の教育を再考する多くの機会とデータを得ることができた。また、平成31年度には2つの学会での発表を予定しており、すでに採択されている。おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、引き続き夜間中学での参与観察を継続する。ただし、長栄夜間中学は市の教育政策により、閉校し、統合されて2校に分かれての再スタートとなる。そこで、そのうちの1校である布施夜間中学において、平成31年5月下旬より、観察を行う予定となっている。また、講演や学会発表において積極的に発信していくつもりである。現在、異文化間教育学会、中国語教育学会、カナダ日本語教育学会でのシンポジウム、口頭発表が決まっており、研究を深めるのに役立てたい。
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Causes of Carryover |
夜間中学の行事などで観察が難しい日があり、その分旅費が余ることとなった。次年度の参与観察は、5月から3月までの11か月間を予定しており(昨年は10月から6か月間)本年度余った金額については、次年度の旅費に回すつもりである。
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