2019 Fiscal Year Research-status Report
Relationship among morphological awareness, vocabulary, and reading comprehension in a foreign language
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18K00737
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 淳子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00220335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形態素知識 / 読解力 / 語彙力 / 第二言語 / 形態素認識 / 形態素処理 / 派生形態素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英語を外国語として学ぶ大学生を対象に、英語の形態素知識と読解力、語彙力との関係をモデル化することを最終目的としている。2年目の今年は、データ収集に向けて、テストの作成を具体化する予定であった。まず、ベルギーのルーベンで開催された、第二言語の語彙研究学会(Vocab@Leuven)で形態素知識測定法のレビューを発表した。その発表の結論でもある、他の構成素との構成概念の重複を極力避けるため、文脈の使用は必要最低限にし、擬似単語を使う測定が相応しいとの立場をとり、様々なテストを吟味した結果、コンピュータ適応型の派生形態素知識テスト (Mizumoto et al., 2019)の使用を決定した。これは上記の条件を満たすと同時に、形態素知識の複数の側面(形式、意味、機能)をカバーし、異なる側面ごとに得点が得られるからである。作成者の水本教授に連絡を取り、もともとは正答率(数)のみを記録するプログラムであったものを、時間も記録できるテストにしていただけることになった。 また、所属先の状況として、新研究科発足のため凍結されていた特別研究期間への申請が解禁された。かねてから希望していたので申し込み、幸い承認された。特別研究期間中(2020年4月~2021年3月)の研究計画として、受け入れ先の英国ベッドフォードシャー大学で、本研究課題のアイディアを拡大した共同研究を行うこととした。このため、この共同研究により、本課題がより発展した形で遂行できることになった。拡大は2つの点からなされる。まず1つは、読解の構成素を増やすこと(形態素知識、語彙、文法、意味符号化、推論、知識統合)、もう1つは6か月の縦断的研究にすることである。対象はベッドフォードシャー大学の語学センターに通う、英語を外国語・第二言語として学ぶ留学生である。この計画に沿い、テスト作成のための予備調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特別研究期間取得が承認され、英国ベッドフォードシャー大学で1年間の共同研究を行い、しかもそれの遂行の中に、本研究課題の遂行が含まれるような研究計画が練られたことは、非常に好ましい研究発展の1つの形であった。特別研究期間が2020年4月から開始されるため、それまでにデータ収集に使うすべてのテストをほぼ完成させることが理想であったが、そこまではいたらなかった。その理由はいくつかあるが、1つは、測定する構成素が増加したので、その分テスト作成に時間がかかること、共同研究者側が競争的研究資金に申し込むため、その申請にかなりの時間がとられたことなどがあげられる(競争的研究資金はすべてベッドフォードシャー大学に行くが、私も共同研究者として申請書の一部を執筆した)。ただ、テストの原型を決めることはできたので、今後項目をさらに精査し、予備調査で確認する手順を踏むことにより、テストが作成できると考える。 もう1つ、本年度中の計画が執行できなかった重要な理由がある。2020年3月に計画していた2つの海外出張の中止である。1つは、ベッドフォードシャー大学を訪問し、1年間滞在するための様々な準備をする予定であった。次は、アメリカ応用言語学会で、読解構成素(語彙、形態素知識含む)の新たなメタ分析の結果を発表する予定であった。どちらの中止も3月に急速に全世界に広がったコロナウイルスのパンデミック化が原因である。後者については、別の機会での発表や論文で成果発表ができるが、前者については、以下にも述べるように、今後の研究計画に大きな暗い影を落とした。以上を総合すると、本年度(2020年3月まで)に限っての研究の進展は多少遅れている程度といえるが、この報告書提出時点(2020年6月)の世界の現状は、今後の研究の遂行が見通せない不安定な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスのパンデミック化がなければ、今後の研究の推進方策は明確であった。つまり、英国で残りのテストを完成させ、予備調査を経て本調査に入る。そして半年でデータ収集を終え、分析を行い、論文を執筆する。しかし、コロナウイルスの状況で渡英できず、特別研究期間は2020年4月から、日本(所属大学)において開始された。日本でも、英国でも外出禁止(自粛)、学生の登校禁止、教職員の自宅勤務、オンライン授業など、人との接触を避ける方策がとられ、人間からデータ収集する研究はコロナウイルス禍が収束するまで不可能である。当面のところ、関連論文をさらに読み、当該分野の最新の研究成果を理解・整理し続けつつ、パンデミックの終焉を待っている。理想は、できるだけ早い時期に英国での研究が開始できることであるが、英国で応募していた競争的研究資金提供元は、コロナ禍のため今年は資金提供を中止し、共同研究者の士気が振るわない。また、協力してくれる予定だった語学センターがコロナ前と同じ条件で協力してくれるかは不明である。研究課題の好ましい発展であったので、英国での共同研究のためにあらゆる準備を進めてきたが、今年度中の渡英が無理になる可能性も考えて、日本でのデータ収集という元の計画にもどすことを射程に入れて今年度の研究を推進するのが妥当であろう。ただ、人間からデータ収集ができるような状況になるのは早く見積もっても秋以降であるし、コロナ後の世界でコロナ前と同じ状況で人間からデータ収集できるか不透明である。これから本調査に入る非常に重要な時期にパンデミックが起こり、その第一波が収束に向かいつつあるとはいえ、第二波・第三波の可能性を含めまだ予断を許さない状況にあるため、今後の研究もコロナウイルス禍の状況を見ながら、その中で実行可能な方法を模索していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額発生の理由は上に書いたようにコロナウイルスのパンデミック化による海外出張の中止によるものである。もし今年度中に英国での研究を開始できれば、その出張のために残額は次年度分と合わせて使用する。もし、渡英できない深刻な状況が長引けば、来年度は、使用している統計ソフトのアップデート可能最終年になるため、アップデートのための資金として使用する。
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