2020 Fiscal Year Research-status Report
Relationship among morphological awareness, vocabulary, and reading comprehension in a foreign language
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18K00737
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 淳子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00220335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形態素知識 / 読解力 / 語彙力 / 第二言語 / 形態素認識 / 形態素処理 / 派生形態素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英語を外国語として学ぶ大学生を対象に、英語の形態素知識と読解力、語彙力との関係をモデル化することを最終目的としている。3年目の今年は、本来であれば、特別研究期間が認められて英国に1年滞在し、本研究を拡大した研究を共同研究者と行う予定であった。しかし、コロナパンデミックで渡英できず、日本で事態の収束を待っていたが、丸1年たっても収まらず、計画の実行は不可能となった。予測が難しい状況であったが、本年度後半より徐々に、渡英が不可能であることを前提に、研究計画の軌道修正を始めた。まず、対象を日本で英語を学ぶ大学生に戻し、彼らの英語読解力、語彙力を測定するのに適したテストを模索した。感染対策措置の長期化が見込まれる中、オンライン、オンデマンドで受験できるテストも視野に入れた。昨年に決めていたコンピュータ適応型の派生形態素知識テストはこの条件を満たすので、そのまま使用することにした。読解力と語彙力のテストについては、第1段階の予備調査としてVELCを実施することにした。このテストは文法テストもセットとして受験するため、当初の研究課題を多少拡大し「語彙・文法知識という読解力の強力なコンポーネントに加えて形態素知識は読解力にどのように貢献するのか」に変更した。そしてこの問いを、採用する形態素知識テストで測られる3つの側面(form, meaning, use)それぞれについて調べる。 その他の実績としては、昨年パンデミックで中止となった国際学会(アメリカ応用言語学会)が今年はオンライン学会として実施されることになったので、再度応募、採択され、3月末にオンラインでの発表を行った。内容は2014年に発表した共同研究のメタ分析を拡張したものであるが、本研究課題の焦点となる形態素知識、語彙ともに、読解力と強い相関を示すコンポーネントであることを発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来なら、今年度英国でデータ収集をしているはずであったが、全くできなかった。パンデミックの収束は予測がつきにくいため、いつ予定変更に踏み切るかの決断が難しく、迅速な対応はできなかった。また人との接触を避けることが求められる中、人間を対象に行う実証研究を進めることはできなかった。ほぼ1年間本研究課題に関する研究活動が停止したと言っても過言ではない。英国での実証研究の完全中止(延期はない)が決断され、研究計画変更に向けての実質的な検討が始まったのは本年度末である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本にいる大学生を対象に研究課題を遂行する。上にも書いたように、文法力を加え、多少射程を広げた形の研究にする予定である。 データ収集は、対面授業が可能になっている現状で、できるだけ対面形式でのテスト実施を考えるが、感染状況が悪化する場合は、オンデマンドでのテスト実施も可能性がある。ただし、それは予備調査の結果等も見ながら、慎重に検討する。極力厳密な状況でのデータ収集が望ましいので、できる限り監督者のいる状況でデータ収集する方法を模索する予定である。予備調査の結果が順調であれば、本年度中に本調査に着手できる可能性がある。また予備調査データで分析に着手し、分析の手法について検討するとともに、ふさわしい学会があれば、成果発表の準備をしたいと思う。多くの学会がオンラインになる中、オンライン形式でも学術交流がうまくいくように、慣れていきたいと思う。そのためにも、このような学会に積極的に参加するよう努めたいと思う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額発生の理由は上に書いたようにコロナウイルスのパンデミック化による海外出張の中止によるものである。日本で研究は続けていたが、状況が不安定であるため研究計画変更の決断が難しいことと、感染対策のため研究の進展が止まったことで予算の使用ができなかった。 しかし、研究計画の変更が検討され、少なくとも予備調査に使うテストが決定された。このテストは学生一人当たりについて受験料がかかることから、この受験料の支払いを行う予定である。
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