2022 Fiscal Year Research-status Report
Relationship among morphological awareness, vocabulary, and reading comprehension in a foreign language
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18K00737
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 淳子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00220335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 第二言語 / 読解力 / 語彙力 / 形態素知識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英語を外国語として学ぶ大学生を対象に、英語の形態素知識と読解力、語彙力との関係をモデル化することを目的としている。長引くパンデミックの影響で、実施計画を何度も修正してきたが、昨年度は、日本語母語大学生を対象に、個別受験のできるオンラインテストを取入れ、集団受験もコンピューターを使って仕切られた空間で受験できるテストを選び、本調査のデータを収集した。今年度の主要な実績は、それを分析し、結果を発表する機会を得たことである。まず、分析では、Reading Systems Frameworkをベースに、英語の読解力に対する派生形態素知識の3つの側面 (Form, Meaning, Use) の直接的影響と、語彙知識(広さ)を介した間接的影響を想定するモデルを作り、パス解析を使って検証した。測定された派生形態素知識の3つの側面とはそれぞれ以下のものを指す:Formは形、Meaningは意味、Useは品詞。結果としては、MeaningとUseが直接的にも、間接的にも読解力に影響を及ぼしており、総合的な効果としてはUseの方がMeaningより大きかった。またFormは直接的にも間接的にも有意な影響がなかった。この結果は、形態素知識の読解力への影響の仕方や度合いが、形態素知識の異なる側面により違うことを示し、本研究により形態素知識と読解力の関係をより詳細に実証することができた。また本年度はこの研究成果を発表する機会を得ることができた。学会発表では、2023年8月に開催されるEuroSLAでの口頭発表が受理された。論文発表では、第二言語リーディング研究者であるShuhei Ke博士がゲストエディターを務める学術誌から投稿を打診され、本研究の概要を説明し、それに基づく投稿が受理された。査読があるので、採択のほどは未定であるが、少なくとも本年度に招待に基づく投稿先を決めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去3年ほどパンデミックの影響で研究の進展が少なかったことの影響を受けて、本来なら最終年度となる今年度に計画の最後まで行けなかったが、科研費助成事業の補助事業期間延長を申請し、1年の延長が承認された。つまり、来年度まで研究期間が伸びたので、それを考えると、現状は順調といえるのではないかと思う。 現在までの進歩状況は、データ分析の結果が得られてそれを発表する段階まできたということである。具体的には複雑な形態素知識をどのように操作化するか、形態素知識と語彙力が読解力へ貢献するモデルをどのように構築するか、という重要な点について、理論的・方法論的に検討して決定し、研究参与者、研究手順を決めて、データ収集をした。そして、そのデータの統計的分析結果を得るところまで来た。そして、その結果に基づき参加可能は国際学会に応募して受理された。またちょうどよいタイミングで論研究の内容で投稿できる学術誌へ投稿の招待があり、それを受けることで論文投稿先を決めることができた。このように、最終年度の来年度で、成果を実際に発表するという流れを作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
先にも述べたように、パンデミックの影響で研究が滞ったため、科研費助成事業の補助事業期間延長を申請し、1年の延長が承認された。途中に停滞期間があったとはいうものの、できる範囲内で現実的にできることを模索して研究を継続してきたため、緩やかながら進展があり、補助事業延長期間として使える2023年度中に、学会と論文で、本年度の成果である分析結果を発表する目途がついた。まずは採択された学会で夏に発表し、そこでのフィードバックも考慮しながら、秋から冬に論文執筆を行い、投稿する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額発生の理由は、国内、国外とも出張を中止したことが要因となった。海外では学会が対面形式にもどり、国内でも2023年度から対面形式に戻る学会がほとんどの様子である。パンデミックで対面での学術交流が制限されてきたが、来年度はそれを取り戻すためにも、積極的に学会に参加したい。そのための出張費として使用する。そのために必要なモバイルパソコンの購入を検討している。また研究時間を確保するためにバイアウト制度の活用にも費用を用いたい。
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