2019 Fiscal Year Research-status Report
大学における内容言語統合型学習(CLIL)による国際英語(EIL)教授法の開発
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18K00738
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日野 信行 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (80165125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | EIL / CLIL / ELF / EMI / World Englishes |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、本研究の理論的側面に関する実績について述べる。国際学術出版社 Palgrave Macmillan から出版された English as a lingua franca in Japan という書籍に、日本の社会的・文化的環境に適合する「国際英語」教授法のあり方について、ELF education for the Japanese context と題する章を発表した (Hino, 2020)。 また、国際学会 International Association for World Englishes の年次大会において、日本のように独自の英語モデルが確立していない国での「国際英語」教育のモデルに関して、Struggling with the peripherality of the Expanding Circle toward equality と題する発表を行った (Hino and Oda, 2019)。 さらに、国際学術誌 Asian Englishes (Routledge)からの招待により、Expanding Circle(EFL国)としての日本における「国際英語」教育の言語モデルとしての Japanese English に関する論文 Japanese English as an Expanding Circle variety を執筆し、同誌に提出した (Hino)。 次に、本研究の実践的側面に関する実績について述べる。国際学術出版社 Springer から出版される予定の書籍 Functional Variations in English において、大学における国際英語のための CLIL の教授法 CELFIL (Content and English as a Lingua Franca Integrated Learning)を、Approach・Design・Procedure (Richards and Rodgers, 1982, 2014)の枠組みを用いて提示した章原稿 CLIL pedagogy for EIL in higher education について、査読コメント(ただし招待執筆である)を経た改訂稿を提出した(Hino and Oda)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
招待講演(Hino)が決定していたRELC国際大会(シンガポール, 当初2020年3月予定)がCOVID-19情勢のために延期になり、また台湾の大学における国際英語でのCLIL授業の実践研究を意図した集中講義(当初2020年3月予定)も延期となるなど、年度の終盤においてはCOVID-19の深刻な影響が出たが、年度の総体としてはおおむね順調に進展した。 「研究実績の概要」で触れたように、国際学術出版社 Palgrave MacMillanからの出版に加え、本研究の実践的側面に関する論文 CLIL pedagogy for EIL in higher education を、査読を経て改訂・再提出し、国際学術出版社 Springer からの出版に向けて順調に進んでいる。 また、本研究の理論的側面については、「研究実績の概要」で言及した論文の他に、Russian Journal of Linguisticsからの招待(当該号のエディターは「国際英語」研究の世界的権威 Zoya Proshina 及び Cecil Nelson)により、論文 The significance of ELF for ELT pedagogy in the Expanding Circle (Hino)を執筆し、提出済である。 ただし、COVID-19情勢のため、招待講演(日野)が決定していた日本英語教育史学会全国大会 (当初2020年5月予定)が延期となり、また研究発表 (Hino and Oda)が決定していた ELF2020国際大会(台湾、当初2020年7月予定)及び AILA2020国際大会(オランダ、当初2020年8月予定)がいずれも延期になり、さらにCLIL授業のフィールドワークも計画の変更を余儀なくされるなどの状況が発生しており、COVID-19からの大きな影響は避けがたい情勢である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題であるCLIL/EMIやEIL/ELFは日進月歩の分野であるため、最新の文献の積極的な収集・参照を継続する。また、本研究の基盤としてのEIL論のパラダイムの検証と再構築の作業を継続していく。 本研究にもCOVID-19情勢の大きな影響が出始めているが、すでに決定していた学会招待講演や学会発表(「現在までの進捗状況」で述べた)については、延期後のあらためての実施を願っている。研究成果の報告の機会であるとともに、今後の研究の進展のために有益なフィードバックを得る場でもある。同様にCOVID-19により延期となった、台湾の大学における国際英語のCLIL授業の集中講義を通しての実践研究も、あらためて実現させたいと考えている。 授業実践研究の部分についてはさらに、COVID-19情勢のためにオンライン授業への移行を余儀なくされた現状を奇貨として、本研究課題で開発中の教授法 CELFIL (Content and English as a Lingua Franca Integrated Learning)について、Zoom等を用いたオンライン授業でも実施可能とするための方法を探り、CELFILの新たなる形態の可能性を模索したいと考えている。 また、授業観察についても、オンライン授業は状況によってはゲストとして参加することが容易な場合もあることに着目し、オンラインでの授業見学の実施によって、CLILによる「国際英語」教授法に関して、観察・省察・実践による Reflective practiceを推進する可能性について検討している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、主として、COVID-19情勢によって2020年3月の出張が中止となったために旅費の支出が当初の計画より少なくなったことと、ノートパソコンの購入に際して余剰な機能を排した機種を探して購入したことにより物品費を節減したことにある。 使用計画としては、採択通知のあった AILA国際大会(オランダ)及び ELF国際大会(台湾)での研究発表の旅費の一部などに充てる予定である(両大会ともCOVID-19情勢により延期となったが中止ではない)。
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Research Products
(3 results)