2020 Fiscal Year Research-status Report
高等学校修了生の英文法習熟度調査及び研究成果の教授法への応用
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18K00747
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
横田 秀樹 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (50440590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白畑 知彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (50206299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英文法 / 習得難易度 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、前年度行った実験の結果に基づき、分析、考察、論文執筆を行った。その実験は、高校修了生にあたる大学生新入生160名を対象に、研究初年度に行った予備調査に修正を加えた英文法12項目、冠詞、名詞の複数形、前置詞の位置、動詞の過去形、代名詞の格、助動詞、三人称単数現在、動詞の下位範疇化、wh疑問文、Yes/No疑問文、語順、進行形の調査である。そこで得られたデータの整理、統計処理、分析を行った結果、日本の大学生の英文法習得難易度順序は、先行研究の代表的な指標であるJohnson & Newport (1989)の3つのグループすべて [11歳~15歳に渡米したグループ]、 [17歳~24歳に渡米したグループ]、[25歳~39歳に渡米したグループ]の習得難易度と高い相関があり、第二言語習得環境下の英語習得と同じような傾向を示すことが明らかとなった。 一方で、日本の大学生が50%以上誤りを犯す文法項目として、従来からの習得の難しさが指摘されている「限定詞」や「複数形」といった項目に加えて、「動詞の下位範疇化」、「不変化詞の用法」も含まれることが本研究で明らかになった。これらも今後の日本の英語教育で指導すべき重要なポイントであると考えられる。特に、この2つの文法項目は「三単現」や「規則過去形」のようなルールの適用だけでは習得が難しく、個々の動詞の特性、たとえば自他動詞の用法などや句動詞などの「知識」が必要になるものである。つまり、簡単な英会話表現の練習だけでは身につかない習得項目であり、日本の英語教育において、改めて文法「知識」を増やす重要性も示唆される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は成果発表を予定していた学会の大会が相次いで中止または延期となったが、前年度に行った実験の全項目の習得傾向及び付随する一部の文法項目のデータの分析を行うことができ、成果発表及び論文を一編を執筆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、これまでに行った実験方法及び実験文を一部修正した上で、対象者を260名に増やし再実験を行い、データ集計と分析を行う予定である。特に、前回の実験結果から、同じ文法項目内であっても習得の難易度が異なる傾向がある事実が観察されたため、12項目ではなく、個々の文に対して詳細な分析を行う予定である。結果は、学会発表等を通し広く公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
発表予定であった国内外の学会が中止や延期になるなど研究成果発表の場が少なかったため、次年度それらを含めて発表の予定である。
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