2022 Fiscal Year Research-status Report
The effects of extensive reading on the development of L2 reading fluency and grammatical ability and on the development of writing ability
Project/Area Number |
18K00766
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉澤 清美 関西大学, 外国語学部, 教授 (80210665)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 多読 / 文法・統語能力の発達 / 中間言語 / 読みの速度の発達 / リーディングとライティングの接点 / 外国語での読み |
Outline of Annual Research Achievements |
多読により学習者は大量の読み物を読みながら、読みのプロセスの下位処理の自動化を発達させると考えられる。このため読みの流暢さ、特に読む速度が増すと考えられる。この時に処理速度が速くなるだけではなく、学習者の中間言語に質的な変化が生じ、中間言語の構造に変化が起きているのではないかと言える。本研究では、多読により読みの下位処理の自動化が起こり、読みの速度のみならず、学習者の中間言語、特に、文法・統語知識に影響を及ぼすのかどうかを検証する。更に、リーディングとライティングはともに文字情報が関与し、両者は深く関わりがあると言われる(Hirvela, 2016)。多読を継続的に行うことにより、学習者のライティング力はどのような時系列的変化をみせるのかを検証する。研究協力者として、髙瀬敦子氏、大槻きょう子氏に研究に加わって頂いた。 上記目的に対して、2022年度は以下を実施した。(1)授業内外で一年間多読を行った学習者(多読群)と多読を行わず、ストラテジー訓練や精読を行った学習者(統制群)に約300語の英語伝記文の要約を書いてもらった。propositionsとcoherence(一貫性)の観点から分析した結果、両群とも要約文を書く力に発達が見られたが、多読群の方が全般的により詳細、かつ一貫性のある要約文を書いており、多読を部分的にでも活用することが書く力の発達に寄与すると思われた。(2)多読を通して学習者の中間言語の構造にどのような質的変化が起きているのかを測定するため、伝記文要約の中で学習者が産出した中間言語の構造として、動詞の項に焦点をあて、多読群と統制群間での時系列的変化の分析を検討した。(3)更に、同目的のために、プログラム開始時と終了時に収集したEdinburgh Project on Extensive Reading (EPER)プレイスメント・プログレステストの特性構造を分析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
伝記文要約の中で学習者が産出した中間言語の構造として、動詞の項を中心に多読グループと統制グループ間での時系列的な変化と文法・統語知識の認知面での時系列的変化を分析する予定であったが、研究代表者、研究協力者とも授業の準備、学内業務多忙のため、更に、研究協力者の体調不良等も重なり、データ分析に遅れが生じた。更に、同様の理由により、2018年、2019年収集の下記データの分析にも遅れが生じた。(1)一年間多読を行った英語学習者(多読群)とストラテジー訓練や精読を行った学習者(統制群)が受けたEdinburgh Project on Extensive Reading(EPER)プレイスメント・プログレステストにおいて、プログラム開始前と終了時での質的変化、(2)同様に、EPERリーディングテストにおける時系列的変化、(4)読む速度テストにおける時系列変化。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下のデータ分析を行う。(1)伝記文要約の中で学習者が産出した中間言語の構造として、動詞の項を中心に多読グループと統制グループ間での時系列的な質的変化を検証する。(2)多読により読みの下位処理の自動化が起こり、読みの速度が伸びるとともに、学習者の中間言語、特に、文法・統語知識にどのような影響を及ぼすのかについて分析を進める。(3)EPER リーディングテスト、読む速度テストを分析し、多読グループと統制グループの読解力、読む速度の時系列的変化を調べる。
|
Causes of Carryover |
2022年8月に国外開催が予定されていたExtensive Reading World Congress 2022 がExtensive Reading Around the World 2022として、オンライン開催に変更されたため、研究発表のための国外旅費が未使用となった。更に、研究協力者である高瀬敦子氏、大槻きょう子氏との科研会議もオンラインで開催しており、会議開催のための国内旅費が未使用となった。また、収集したデータ分析の遅れのため、論文執筆、校正にも遅れが生じた。 2023年度は下記に支出予定である。(1)学会での研究発表・参加(431,000円)、 (2)専門誌への論文投稿のための英文校正(15円X7,000単語X4篇)、(3)専門知識の提供の謝金(学外者90分、30,000円X2回)、(4)データ入力業者依頼のための人件費(100,000円)、(5)図書(3,000円X3)、(6)多読用図書(150,000円)、(7)データ回収(143,000円)。
|