2019 Fiscal Year Research-status Report
留学の効果を最大化する留学事前事後の教育プログラム開発のための基礎的研究
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18K00769
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
山川 健一 安田女子大学, 文学部, 准教授 (00279077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 留学 / 留学の効果 / 留学プログラム / 留学事前事後 / 外国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は研究の中心的な年度であり、留学前のデータ収集ならびに留学中のデータ収集を行う年度であった。留学前のデータとしては、調査対象者が受検するTOEIC L&Rの得点情報の提供(調査対象者からは調査の参加に対して許諾を得ている)ならびにTOEIC Speakingの実施を行った。加えて、各種心理調査として、主要5因子性格検査、外国語学習ビリーフ、動機づけ、コミュニケーションストラテジー、言語学習ストラテジー、コミュニケーションを取ろうとする意志、外国語不安、国際的志向性などのアンケート調査を行った。 また、異文化間能力を測定するためのツールであるBEVI (Beliefs, Events, and Values Inventory) を開発者の1名である研究者の方を招いて実施した。また、BEVIのセミナーにも参加して本ツールの理解も深めることができた。また、インタビューデータの質的分析を行う際の分析法として、TEA(複線経路等至性アプローチ)の使用を予定しているが、この分析法のセミナーにも参加した。 また、調査対象者が留学している間は、ウェッブ上のポートフォリオを用いて定期的に留学中の出来事を記録してもらった。場合によっては、写真等も含めたデジタルポートフォリオにもなっている。 これまでに収集してきた各種データの一部については、学会で口頭発表を1件ならびに論文を1本執筆した。学会発表は、第40回異文化間教育学会において「日本人英語学習者の留学時のアイデンティティ形成プロセスに関する一考察」という内容で行った。また、論文については、『安田女子大学大学院紀要』第25集に「留学での経験を可視化するための量的・質的分析を用いた基礎的研究」を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、留学前のBEVIを含む各種心理調査データ収集ならびにTOEIC L&Rの得点情報の収集とTOEIC Speakingの受検等については予定通り実施できた。また、調査対象者が留学中にウェッブ上のポートフォリオに留学を記録するデータも収集することができた。しかしながら、2020年3月に留学帰国者のインタビューを行う予定であったが、コロナ禍の影響で対面での接触が困難な状態になり、留学後のインタビュー調査が現在ストップしている。加えて、留学後の各種アンケート調査に関しても、従来週に1回あった対面での授業での機会がないため、データ収集がストップしている状態である。ただし、これらについては、大学の倫理審査を経た後、Zoomやウェッブアンケートで対応するように現在調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本研究課題の最終年度である。以下の3つの柱で研究を進める予定である。 まず一点目は、前年度に収集を開始できなかった留学後のデータ収集を急いで行うことが挙げられる。インタビューデータは、勤務先大学の倫理審査を経たのち、Zoom等を用いて間接的に留学体験者から半構造化インタビューでデータ収集をする予定である。心理調査については、留学前に行った各種ツールを用いる。そして、留学前後にどのような変化が調査対象者に生じたのかについて、量的側面と質的側面の両方から分析する。特に質的分析については、TEA(複線経路等至性アプローチ)の手法を用いて、留学体験者がどのような経路をたどって今の状態に到達したのかについて記述して分析する。 二点目は、一点目から得られた知見に基づき、現在行っている留学プログラムの枠組み(事前事後指導、カリキュラムとの関連性、留学支援体制など)を最適化するために必要なものは何かについて議論する予定である。 三点目は、上記の2つの点から得られた知見について、学会発表と論文執筆を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初は年度末までにインタビュー調査を行い、その謝金やデータの文字起こしの料金を予定していたが、上述の理由で実施ができなくなった。また、いくつかの関連学会や研究会への出席が急遽キャンセルになり、その分の旅費も未使用となった。 2020年度は本研究の最終年度であるので、第3回目のBEVIの実施、ならびにインタビューデータの文字起こしや、調査対象者への謝金等も予定している。 加えて、収集ならびに分析が終了したデータについては、学会発表等で随時公開していく予定である。現時点では、学会発表を2件(国際学会1件と国内学会1件 )を予定している。また、発表したものを論文化する際の投稿料・英文校閲料やその他諸費を予定している。
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