2021 Fiscal Year Research-status Report
CALL/MALLによる英語学習成功者の学習者要因の特定とガイダンスモデルの構築
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18K00774
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
佐々木 顕彦 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (00779192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 理 関西大学, 外国語学部, 教授 (40206941)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | e-learning / 授業外学習 / メタ認知 / 動機づけ / 学習方略 / 自己調整 / 他者調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
リスニング用オンライン学習(e-learning)を授業外活動としておこなう日本人大学生の学習行動とその効果について、動機付けやメタ認知といった自己調整学習の構成要素がどのように関係しているかを調査している。 初年度の調査をもとに研究環境ならびに研究方法の見直しをおこない、2年目の研究で学習行動と学習成果を調べた。その結果、積極的な e-learning 行動と学習成果の間に正の相関関係が観測され、さらに、そうした学習行動をとる学習者はメタ認知が高いことがわかった。さらに、3年目の研究ではインタビュー調査をおこない、e-learning を積極的に利用した学習成功者は、1) e-learning の task の目的や特性を見極め、2) その task をスマートフォン使用下で効果的・効率的におこなう学習方略を考えながら、3) 学習計画、遂行、自己省察の段階で有効に利用していたことがわかった。1) と 2) はメタ認知知識、3) はメタ認知活動として定義されることから、これらの質的データからも e-learning 成功者のメタ認知の高さが明らかとなった。 期間延長となった4年目には、e-learning メタ認知知識、特に学習方略の使用について自己調整学習の枠組みから調査した。その結果、学習成功者が用いる学習方略は必ずしも自己調整によるものばかりではなく、他者調整されるものもあれば、メディアのアフォーダンスによって生じる方略もあることがわかった。 ここまで得られた結果と考察から、e-learning 成功者が駆使するメタ認知知識、中でも学習方略は、自己調整によるものだけでなく、他者やメディアに依存するものもあるため、教師による積極的な介入(i.e., e-learning 方略指導)が学生の e-learning 学習成果を高める可能性があることを主張している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、1年目の e-learning 調査に基づく学習環境ならびに研究方法の見直しをしたうえで、授業外 e-learning に取り組む日本人大学生英語学習者の e-learning 行動と学習効果、そして MSLQ と半構造化インタビューによる学習者要因の抽出をおこない、それらの関係を明らかにした。 3年目に実施する予定であったメタ認知の働きを精査する調査は新型コロナウィルス感染蔓延の影響で4年目に実施することになったが、計画は予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き e-learning における学習者要因に関する研究をおこない、e-learning 成功のための要因を学習者要因と学習行動の観点からまとめた学習者向けガイダンスを構築する。当初は自己調整学習の枠組みを用いて学習者要因や行動を記述する予定であったが、4年目の研究で e-learning 成功者が用いる学習方略は他者調整やメディアの特性によるものもあることが判明した。そのため、ガイダンスでは自己調整と他者調整の連続体(Deci & Ryan, 2002)を用いて記述することを考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、2020年の新型コロナウィルス感染拡大の影響で、学生が登学禁止となり予定していたインタビュー調査ができなかったこと、また、発表を予定していたヨーロッパでの国際学会(2020年度)がオンラインになって出張が不要になったことなどである。2022年度はこれまでの研究のまとめをおこない、論文執筆と出版に向けて助成金を有効に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)