2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive Study of History of Korean Language Education in Modern Japan: Focusing on the Concept 'Old Korean Linguistics'
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18K00782
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 晃次 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (90291450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 謙一 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 朝鮮語教育史 / 旧朝鮮語学 / 朝鮮語 / 原物主義 / 人物史主義 / 朝鮮語学習書 / G.V.Podstavin / ロシア・東洋学院 |
Outline of Annual Research Achievements |
依然としてコロナウイルス蔓延による状況が改善されないため、引き続き可能な方法で研究を進めることを今年度の推進方策とした。 計画に基づき、既調査済のデータを可能な範囲で精査・確認するとともに、典型的人物、その他の人物についての研究を進めた。同時に、旧朝鮮語学の国外への影響についても、既調査済の事項を増補した成果を論文として公刊した。そこでは、ロシア・東洋学院G.V.Podstavin教授の人物史を明らかにした上で、同校での教科書『朝鮮語独学の分析』の底本が少なくとも『実地応用朝鮮語独学書』・『日韓通話』であることを原物主義に基づいて実証的に解明した。さらに、この様相から、日本の旧朝鮮語学の影響が国外に及んでいたことを指摘した。なお、韓国で刊行されている「近世および近代日本の韓国語学習資料叢書」(亦楽)所収の影印本とその解題の一部につき、原物主義の立場から検討して得た情報も明らかにした。 代表的人物ではあるが、宝迫繁勝について新資料を発掘し、これまで知られていなかった事項を明らかにできた。これに基づき、研究代表者・研究分担者の共著論文の完成を図った。しかし、最終判断に必要な原物資料を調査できなかったことなどにより、公刊するには至らなかった。代表的人物では、奥山仙三のより鮮明な写真、弓場重栄の経歴など新資料の発掘も行った。その他の人物では、これまで取り上げられることがほとんどなかった川辺紫石の人物史をある程度明らかにした。 学習書の書誌の構築についても、既調査のノート・複写物等により再点検を行い、遺漏の補充と調査再開に備えて追調査事項の確認を進めた。 なお、昨年度の実施状況報告書で述べように、研究代表者の「日本近代朝鮮語教育史の視点から見た松岡馨と朝鮮語」、研究分担者の「旧朝鮮語学における音声の認識と位置付け」はすでに掲載決定を確認していたものの、依然として刊行されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス蔓延による状況が依然として改善されず、原物主義を採る本研究の特性からオンライン会議は適さないこともあり、対面による研究会は開催できなかった。しかし、研究代表者・研究代表者間でメール・電話・郵便等により適宜それぞれの研究の進捗状況を把握して意見交換・情報交換を行い研究を進めた。 一方、国内・国外(アメリカ・台湾・韓国)での原物主義による調査は引き続き実現しなかった。可能な限り、様々な方法を援用して研究を進め、宝迫繁勝についての論文を研究代表者・研究分担者共著で公刊すべく執筆・点検を進めたが、研究実績の概要で述べたように、最終的な判断を行うための調査が実現しなかったために公刊には至らなかった。 しかし、研究実績概要に挙げた、代表的人物・典型的人物・その他の人物についての事項のほか、昨年度の実施状況報告書で挙げた「万事オーライ」が公刊されたため、その内容を検討したほか、都道府県立図書館以外での朝鮮語学習書の所蔵状況についても、OPACやレファレンスを利用して調査を行った。また、人物史の記述と関連しては、複数の方法論の応用可否についても検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス蔓延による状況がやや改善され、活動基準もやや緩和されていることから、次年度の早い段階で研究会を行う予定である。 また、資料所蔵機関の学外者利用の制限等が解除され次第、調査を行って、宝迫繁勝についての論文を公刊する。 状況が改善されない場合には、既調査済のデータとこの状況下で可能な方法をさらに精査・検討し、本研究のとりまとめを行い、日本近代朝鮮語教育史に関わった人物を旧朝鮮語学という概念の中に位置付け、近代日本における朝鮮語教育史の様相を総合的に提示したい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延による状況の改善が見られないため、予定した研究会や出張による調査を実施できなかったことが決定的な理由である。 状況が改善され次第、今後の研究の推進方策に示したように、研究会や調査を実施する予定である。 状況が改善されない場合にも、今後の研究の推進方策に示したように、方法を精査・検討し、実施可能な形に調整して研究を進行して執行する。
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Research Products
(1 results)