2018 Fiscal Year Research-status Report
発話速度とポーズが第二言語理解処理に与える影響:動詞句省略文を用いた検討
Project/Area Number |
18K00783
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
橋本 健一 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20581036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動詞句省略文 / Cross-modal priming task / 文理解 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外国語・英語教育においてしばしば問題となる「外国語のリスニングにおける文章理解度に発話速度やポーズがどのように影響を及ぼすか?」という問いに対して、文レベルの理解処理への影響という心理言語学的見地からの答えを提示するために、英語動詞句省略文を用いた行動心理実験を実施する。熟達度の異なるL2学習者の文理解処理に対する、(1) 発話速度の影響 (2) ポーズの影響 (3) 異なる発話速度でのポーズの影響を明らかにすることにより、これまで結論の一致を見ることがなかった外国語リスニング全般への発話速度・ポーズの影響に、新たな視点からの考察を加えて、英語リスニング指導への示唆をもたらすことを目的としている。 平成30年度は当初の予定を変更して、短い節間ポーズを含み通常スピードで読まれる場合と、発話速度を通常のスピードの7割から8割程度にして節間ポーズを長くした場合という、処理効果の差が最大になると想定される2種類の動詞句省略文を用いたcross-modal lexical priming task(音声で提示された英文を理解しつつ、ある部分で視覚的に提示される文字列が英単語か否かを判断させる)を実施して、動詞句省略部分での再活性化処理に伴う語彙認知処理促進効果が見られるかどうかを予備実験的にテストして、実験の素材や方法の妥当性を検討した。その結果、遅い話速と長いポーズにより、ある程度の処理促進(母語話者と同じく動詞句省略部分で再活性化処理を行っている)が見られた一方で、話速のコントロールが不十分である(発話のスピードが遅くなっているというよりは、語・節間のポーズが少しずつ長くなっている)ことがわかり、一部のアイテムを収録し直すなど、実験素材の再整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初よりも本実験の開始が遅れている。その要因として、 ・当初用意していた実験素材の話速コントロールが十分でなかったことから、一部刺激を再録音するなど実験素材の再整備を行なった。 ・動詞句省略文処理に影響を与えると思われる個人要因の測定を行うための課題の選定に時間を要している。 ・学内外の業務や他プロジェクトに想定以上の時間が取られている、 などが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験素材の再整備や個人要因測定のための課題選定は6月中に完了する見込みである。その後、再度予備実験を実施して、本実験の開始は8月以降になると考えられる。授業のない夏季休暇中にサークル等で大学に来ている学生に実験参加を呼びかけることで、実験実施のスピードを上げていく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度に本実験が開始できていないことで、謝金支払いに使用する予定だった人件費分が残ったものであり、2019年度の本実験開始に伴い、実験謝金として使用する予定である。
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