2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a teacher's manual of English pronunciation for elementary school English education in Japan
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18K00787
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
上斗 晶代 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (60196665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 由里 名城大学, 外国語学部, 教授 (20455059)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小学校英語教育 / 英語音声 / 英語発音指導 / 児童英語教育 / 教師用音声指導書 / 日英対照音声学 / 日本人学習者 / 英語発音学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度からの小学校新指導要領全面実施に向けて,2018年度からの移行期間に使用されている外国語活動の教材『Let's Try!1』(LT1)と『Let's Try!2』(LT2)(中学年用),及び『We Can!1』(WC1)と『We Can!2』(WC2)(高学年用)に出現する語彙と文について,分節音と超分節音の両面から分析を行った。分析結果に基づいて,各教材の単元に準拠した英語音声指導書(マニュアル)を作成した。特にアルファベットについては,その名称に出現する音素の数が英語の全音素の半数を占めており,音声面においても指導が重要であるとの観点から,アルファベットを初めて扱う単元(『LT1』,Unit 6)には丁寧な記述を施した。また,アルファベット発音時の英語母語話者の口元の映像(正面,サイド)を収録し,DVDを作成するとともにWeb上にアップし,指導書に記載されたQRコードから動画を再生できるようにした(利用者限定)。動画には,発音のコツと日本語音声で代用しがちな音について日本語での音声解説を入れて理解し易くした。日本語による解説入りの英語母語話者のアルファベット発音動画はほとんど無いため,発音指導の補助資料として意義深い。作成した指導書や動画についての小学校教員の意見を基に改良を行った。 また,英語の母音,子音の全音素と各音を含んだ単語の発音についても英語母語話者の口元の映像を収録した。各音素について,日英語音の比較や英語音間の比較に関する日本語音声による説明を施した。 指導書を試用した教員による指導を受けた児童が発音したアルファベット名称の音声を指導前と後に収録し,音響解析に基づいて発音状況を分析した。分析結果を,小学校教員のコメントとともに,音声指導マニュアル改良のための資料とした。小学校児童の英語音声の時系列のデータは少なく,貴重な資料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の計画としては,小学校英語教育において移行期間に使用されている中学年,高学年用教材の分析に基づいて,教員用音声指導書(初版)を作成し,小学校教員の意見を取り入れて改良を行うこと,音声・動画DVDを作成すること,及び,児童の英語音声収録と分析により児童の発音の経過観察を行うことであった。移行期間に使用されている4種類の教材の分析は全て行い,当初の計画を達成した。音声指導マニュアル作成については全ての単元が対象とはならなかったが,マニュアルを試用した小学校の進度に合わせて,指導を行う単元に準拠した指導書を順次作成した。また,教員の意見を取り入れ,順次改良を行うことにより,1単元のマニュアルの構成をほぼ確定することができた。 英語の全音素とアルファベット名称の発音の動画を収録し,アルファベット発音動画についてはDVDを作成するとともに,QRコード読み取りによりWebからダウンロードできる仕組みを構築したことは,当初の計画以上の成果であった。 また,小学3年生の児童20人以上の英語音声を指導前と後に収録して分析し,経過観察を行うことにより,1学年のみではあったが,児童の発音の状況を把握することができ,初期の計画を実行できた。児童の音声分析結果からマニュアル作成と改善への示唆が得られたことは本研究成果の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には,2018年度で対象としなかった単元を含めて,『LT1・2』,『WC1・2』の全単元に準拠した音声指導マニュアルを作成する。マニュアルについての小学校教員の意見を反映させて改良を行うとともに,新指導要領全面実施となる2020年度に向けて,特に高学年を指導対象とするマニュアルについては教科書の種類の別に依らない汎用性の高い内容について構想を練る。各単元の指導マニュアルに記載する単語と文については英語母語話者の音声を収録したCDを作成するとともに,Webサイトからダウンロードできるようにする。また,2018年度に収録した英語母語話者の全音素の発音時の動画を編集してDVDを作成するとともに,QRコードからWeb上の映像をダウンロードできるようにする。 児童が発音した英語音声について,2019年度も引き続き収録して経過観察を行う。2018年度に収録対象となった児童と同一の児童の音声を収録する(2019年度は4年生)。また,協力が得られれば,他の学年の児童の音声や対象校を広げて収録を行う。児童の音声収録は時間的な制約があるため,一度に多くの児童の音声収録は困難であるが,一回の収録作業者の人数を複数で行うなどにより,できるだけ多くの児童を対象に収録を行う。 2020年度には,外国語科(高学年対象)用に出版された教科書全種類について,音声面から分析し,2019年度に作成した音声指導マニュアルを汎用性が高い内容に改良する。 外国語活動(中学年対象)については,教材の動向や内容を見ながら,単元別,学年別の段階的記載内容について検討し,汎用性のあるマニュアル作成を目指す。英語母語話者の音声や口元動画については必要であれば修正や追加収録を行う。 昨年度に引き続き,研究協力者として三宅美鈴(広島国際大学客員教授)と戸井一宏(広島市教育委員会,前広島市立戸坂城山小学校教諭)が加わる。
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Causes of Carryover |
購入した統計処理ソフトの価格が予定額よりも下回ったため,差額分を次年度使用額とする。次年度の研究発表のための旅費と学会参加費として使用する計画である。
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Research Products
(7 results)