2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a teacher's manual of English pronunciation for elementary school English education in Japan
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18K00787
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
上斗 晶代 県立広島大学, 人間文化学部, 名誉教授 (60196665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 由里 名城大学, 外国語学部, 教授 (20455059)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小学校英語教育 / 英語音声 / 英語発音指導 / 日本人英語学習者 / 英語音声指導書 / 英語アルファベット名称の発音 / 日英対照音声学 / 児童英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校中学年を対象に英語音声主体の指導が行われている外国語活動では,発音指導は必要不可欠である。小学校教員が苦手意識を持つ発音指導を支援するため,教材『Let's Try! 1, 2』の各単元に準拠した「英語音声指導マニュアル」の作成と改良を進めた。教材付属の教員用『指導編』の「言語材料」の音声出現頻度を単元毎に分析し,教材の出現頻度別音声と併せて各単元で扱う分節音と超分節音のリストを作成し,内容を記述した。 マニュアル作成に活かすため,児童の英語音声の特徴を調べた。小3生10人が発音したアルファベット文字名称の音声について,英語母語話者8人による“通じ易さ(intelligibility)”の5段階評価と文字の聞き取り調査を行った結果,L,P,T,V,Zは理解されにくいことが分った。音響分析結果から,P,Tは無声閉鎖音の気音が弱いためB,Dに聞き間違えられ易いこと,L,V,Zは日本語音の代用など,母語干渉が通じ難さの要因であることが分った。 小学校教員の発音の実態とマニュアルの効果を調べるため,マニュアルを使用してアルファベット文字名称の発音を練習した教員2名の練習前後の発音について,英語母語話者3人が通じ易さを5段階評価した。その結果,一人の教員は有意に発音が向上し,もう一人は有意な変化がみられなかった。アルファベットによる向上度の違いがあり,C,G,J,M,O,T,Yは2名とも向上したが,LとWは両者とも改善がみられなかった。特にLの発音は児童,教員ともに通じ易さの度合いが低かった(児童:2.14,教員:2.5)。“暗い/l/”は日本人にとって習得が難しい音と考えられるため,記述を改良した。 マニュアルを使用した教員の感想として,“内容が充実しており,発音向上に役立つ”が,分かり易さの面で改善が必要とのことで,発音困難な音についてアルファベット単元の改良を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現行のマニュアルには詳しい記述や専門的な記述をしている部分があるため,実際にマニュアルを使用した教員から,分かり難い箇所があるとの意見があった。そのため,理解しやすく,使いやすい内容にするため,改良の必要が生じた。具体的には,英語専科教員向けの詳細版マニュアルと非専科教員向けの簡易版の作成を考えているが,まだ詳細記述が完成していない単元や簡素化へ向けた改良ができていない単元がある。児童と教員の英語の発音の実態調査をさらに進めながら,改良に反映させていく必要があり,時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
「英語音声指導マニュアル」の詳細版と簡易版の作成を行う。簡易版作成にあたり,『Let's Try! 1, 2』の各単元について小学校教員が指導が難しいと感じている英語音,児童や自身の発音について困難を感じている音について調べるため,オンラインアンケート調査を実施する予定である。また,今までに採取している児童と教員の音声の特徴分析をさらに進め,マニュアルの記述に反映させる。 高学年対象の「外国語科」で使用されている教科書に出現する語彙や表現について,分節音と超分節音の出現頻度を分析し,音声指導マニュアルの汎用性を検討する。 今年度の研究を進める上で小学校英語教育の実情を熟知する教員からの助言は欠くことができない。研究協力者として,昨年度から引き続き,戸井一宏氏(公立小学校教頭),及び今年度新たに阿部聡生氏(公立小学校教諭・英語専科教員)に加わっていただく。
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Causes of Carryover |
参加した学会がオンライン開催であったことによる旅費の支出がなかったこと,及び児童の音声収集が実施できなかったことによる収録作業補助者への謝金支払いがなかったことが主な理由である。 次年度の使用計画として,英語音声指導マニュアル作成と改良,及びオンラインアンケート調査実施に係る諸費用(主に物品費)を予定している。
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Remarks |
英語発音セルフラーニングシステム https://npl-mock.glexa.net/
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