2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the Chinese language education focusing on the continuity from the prewar to postwar period. In the case of the Toa Dobun Shoin College to the Aichi University.
Project/Area Number |
18K00800
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
石田 卓生 愛知大学, 東亜同文書院大学記念センター, 研究員 (50727873)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国語教育 / 東亜同文書院 / 愛知大学 / 華語萃編 / 中日大辞典 |
Outline of Annual Research Achievements |
東亜同文書院と愛知大学の中国語教育の具体的な比較を進めた。愛知大学では1960年代初頭まで東亜同文書院が作成、使用していた中国語会話教書『華語萃編』が用いられていた。東亜同文書院使用『華語萃編』は菊判の活版印刷されたもので、研究者の調査では全6版を確認している。対して愛知大学使用『華語萃編』は体裁は大きく異なっておりB5判謄写版である。これについて愛知大学、東亜同文書院大学記念センター所蔵本を調査し、その版本研究及び書き込みなどから使用状況を確認した。愛知大学の謄写版『華語萃編』には①繁体字縦書き53課144頁、②簡体字横書き52課129頁の2つの版本があり、東亜同文書院の6つの版本と比較すると旧制大学時期の版ではなく旧制専門学校時期の版本を基に改訂されたものであった。また、内山雅夫愛知大学教授によるものと推察される書き込みによれば、1959年に前半部分を1年生に、1960年に後半部分を2年生に教授していたことが明らかとなった。本教科書は東亜同文書院では1年生で修了するものであったが、愛知大学では2年間を費やしていており、両者の中国語教育の相違点が具体的に明らかになった。 愛知大学の中国語教育の基礎となっている東亜同文書院の教育活動について調査を進めた。東亜同文書院は1945年の敗戦時に上海本校を中国に接収されたため、その所蔵図書や関係文書は散逸している。このことについて、これまでの実地調査や日本、中国、台湾各地の関係資料についての報告を縦覧して「東亜同文書院に関する一次資料の所蔵状況について」(『同文書院記念報』(29)、2021年2月)を作成した。本稿では中国調査旅行報告書について東亜同文会由来の愛知大学所蔵東亜同文書院と上海東亜同文書院本校由来の中国国家図書館所蔵本の相違点を明らかにし、中国教育関係書については南京図書館に多数の所蔵があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ流行によって国外はもちろん国内での資料調査や聞き取り調査の実施が困難なものとなったことから、当初計画の遂行という観点から見ればやや遅延しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当面、国外での資料調査の実施が困難であると予想されることから、国内さらに県内での資料調査や聞き取り調査を主として研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ流行の状況によっては当初計画の国内外での調査活動を実施することを検討しており、それらに充てる予算の執行を留保したため次年度使用額が生じた。研究期間を1年間延長して2021年度を最終年度とし、コロナ流行によって実施が困難な活動については適宜変更しつつ当初の研究目的を達成したい。
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