2018 Fiscal Year Research-status Report
高専のスケールメリットを活かした反転授業用英語動画教材のアーカイブ共有の研究
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18K00816
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
武田 淳 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (60270196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 太一 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60214558)
青山 晶子 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (40231790)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 反転授業 / 動画資料 / データベース / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、全国の高等専門学校で学ぶ理工系学生を対象とした英語教授用システムの構築を目的とするものである。様々な専門分野に共通する基本的な科学的事象を英語で表現するために必要となる基本表現をまとめたテキストを使用しながら、それぞれの単元のテーマに特化した教授内容を動画にまとめ、その動画のアーカイブを構築し、全国高専の英語教員で共有すること、更にはそのアーカイブを学習者に公開し、学習を高効率化することを最終目標としている。初年度である2018年度にはまず、共同研究者の一人である亀山太一教授(岐阜工業高専)の協力を得てオンラインのデータベースを構築し、全国高等専門学校英語教育学会(COCET)や全国英語教育学会(JASELE)、そして全国高専フォーラムでの研究発表を通して全国の高専に勤務する英語教員に動画教材の作成と提供を呼び掛けた。結果、当初の予想を大きく上回る数の動画データが集まり、教授用資料のアーカイブの構築は順調に進行している。また、提供されたデータの一部を試験的に学習者に公開したところ、予想以上に高評価を得ており、今後はそこで得られた学習者の感想や改善案を参考にしながら研究を進めていく予定である。この学習者への提供では、共通の学習項目について複数の教員がそれぞれ独自の手法で解説を加えることで、学習者のモティベーションが刺激されることも判明した。さらに本研究の副次的な効果として、全国高専の英語教員間の情報交換が活性化し、本研究のメインテーマである反転授業や動画教材のみならず、発音や読解、英作文に至るまで互いの教授法を公開し、評価しあうといった新たな動きが見られ、まさに高専のスケールメリットを活かした教育活動が進行しつつある。次年度以降の教授資料のアーカイブ構築とその共有に、新たな教育的意義が付加されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施するにあたっては、教授資料作成のベースとなる共用テキストの決定が大前提であった。研究分担者との協議の結果、共通教材をFundamental Science in English Book 1&2とすることが決定されたが、この決定が予定より早期になされたため、2018年夏季の全国学会(全国高専フォーラム、全国高等専門学校英語教育学会COCET、全国英語教育学会JASELE、その他)において、全国の教員に対して動画教材の作成とデータの提供に関する協力を呼び掛けることができた。2018年度内にアーカイブに登録された動画資料は127本を数え、これは当初の予定の2倍を超える早さである。また、それと同時に、動画資料を提供する教員の数も順調に増えつつあるが、これは全国学会の講習会などで動画作成の手順やアップロードの方法等を紹介してきたことが奏功したものと思われる。さらに、当初の予定では教授項目毎の資料作成のみを予定していたが、資料を作成するうちに、個々の授業の展開そのものの教授ガイドも作成可能であることに着目し、アクティブ・ラーニングの視点でまとめた授業展開用の資料もまとめ、アーカイブに登録しつつある。また、アーカイブされた動画教材の一部を試験的に学習者に公開したところ、事前には予想もしなかった反応が得られた。つまり、同じ学習テーマに関して複数の教員がそれぞれの手法で作成した教材が学習者のモティベーションを刺激することが判明したことで、学習者の意欲をさらに刺激する手法に関する研究への手がかりが得られたと自負している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、動画教材の作成と提供において全国に協力者が現れ、当初の予定よりも順調に教材が集まりつつあるが、しかしその数はまだ十分とは言えない。今後はさらに、学会の全国大会などで初年度以上に本研究をアピールし、動画資料作成の協力者を募る。また同時に、動画教材の作成やアップロード、配布に係るノウハウなども公開し、ワークショップも複数回開催する予定である。教授資料はそのほとんどが動画ファイルであるためファイルサイズが大きくなる傾向にあり、アーカイブを保存する記憶デバイスは大容量であることが必須であるが、現在使用している岐阜高専のネット上に設定されているハードディスクは空き容量が懸念されることから、2019年度内に新たなデバイスを導入することを検討している。また、動画資料作成の協力者の中には、作成した教授資料をそれぞれ独自のネットワークに掲載する教員も見られるが、これはデータの共有という本研究の基本概念から外れ、授業効率の低下さえも予想されるため、早期に修正する必要があると考えている。また、共有の教材として設定しているFundamental Science in English Book 1&2は、本来「英語Ⅰ・Ⅱ読解」用であるため、教授資料も項目毎に文法解説とインプット・アウトプットに重点を置いてまとめることが多くなっている。しかしながら、授業を展開するうえでの教授資料の提供という視点からは、リスニングとスピーキングの資料もあわせてアーカイブすることがむしろ自然と思われるため、その資料作成も進めていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、2018年度において研究代表者および研究協力者が全員、従来よりも多くの校務を担当することになったため、当初予定していた回数の会議を開催することが不可能となり、やむを得ずZoom等を用いたオンライン会議で打合せを行ったことで、旅費の総額が予定よりも少なくなったことにある。また、本研究のテーマである動画教材の作成について、初年度は研究代表者および研究協力者が現行の機材で対応可能な範囲で作成・編集していたが、2019年度以降はソフトウェア、ハードウェアともに新たな機材とバージョンが必須となり、そのための物品費が今後必要となる予定である。
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Research Products
(7 results)