2018 Fiscal Year Research-status Report
中国語コミュニケーション能力を育成するための言語運用能力判断基準の開発
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18K00819
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
曲 明 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60727064)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年は二つのことを行った。 一つは第二外国語としての中国語教育において求められる中国語運用能力とは何かについて考察したことである。もう一つは日本の第二外国語教育におけるCEFRの適用可能性について考察したことである。中国語教育で求められる中国語運用能力についてたくさんの先行研究があるが、しかし、多くの先行研究は専門科目としての中国語教育についての考察であり、第二外国語としての中国語教育についてはほぼ研究されてない。専門科目として中国語を学ぶ場合と比べて,第二外国語としての中国語教育は時間が不足で(週 2コマ,1回 90分,1学期15回と考えた場合,単純計算で一年 90時間しかない)、大学での初修言語であるため、大よそクラスサイズが大きく、諸々の好ましくない条件が重なる。何をどのようにどこまで教えればよいのかは難しい問題である。専門科目としての中国語教育と同じ着眼点、教育内容で教えることはもはや無理であろう。従って、第二外国語としての中国語教育の独自な基準を設けて,1年間で学習する内容を精選しなければならないと思われる。 第二外国語教育におけるCEFRの適用可能性についての考察は主にCEFRで主張する複言語/複文化の概念及び機能中心の考え方について分析し、日本における第二外国語教育への適用可能性について考察を行った。複言語主義の言語教育は、英語一言語を通用語にしていくのではなく、対象言語・文化の地域を複数化にし、複層的な言語文化的他者性の発見から自分のアイデンティティの確定を目指すものである。この点は日本の高等教育機関における第二外国語教育の理念と合致している。複言語主義も、行動中心主義のCAN-DO リストも、日本の外国語教育の現状を踏まえたものであるとは必ずしも言えないが、しかし、十分に示唆に富むものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進めているため、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度計画 まず、言語能力を記述する試みとして現在日本の外国語教育分野にも取り入れられているCEFRのCAN-DO リスト、外部に現存する中国語能力言語行動記述(HSK、中国語検定試験のレベルごとの言語行動記述など)等国内外における外部指標を分析し、社会で求められている中国語能力とは何かについて考察する。また、上述した外部指標を参考に、CAN-DO リストを開発するため、第二外国語としての中国語教育に携わる教員を対象にインタビュー調査を実施し、彼らが授業を行う際に抱いている教育目標や理想を言語化してもらう。中国語を教える教員を対象にアンケート調査を行い、教員が抱く教育目標・理想をより広く、正確に知る。
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Causes of Carryover |
2018年度に行う予定の調査は調査対象の都合により2019年度に変更したため、次年度使用額が生じた。 来年度は教員たちからデータを取る予定である。
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