2018 Fiscal Year Research-status Report
ジャンル準拠指導と評価に基づくパフォーマンス課題の開発
Project/Area Number |
18K00852
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
今井 理恵 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (40766987)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峯島 道夫 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (10512981)
松澤 伸二 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (90207043)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ジャンルとテクストタイプ / ジャンル準拠教育 / 学習指導要領 / 検定教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度研究の中心課題は,教科書の調査・分析であった。研究対象は高等学校とし,まず,高校英語におけるジャンルの意識を調査するため,以下の2点を調べた。 (1) 高等学校学習指導要領第1節国語及び第8節外国語 (平成21年版,平成30年版),高等学校学習指導要領解説外国語編 (平成21年現行版,平成30年新版) ,高等学校学習指導要領解説国語編 (平成30年版) について,ジャンルやテクストタイプに関わる文言や概念の有無を調査した。(2) 現行検定教科書「コミュニケーション英語 Ⅰ」,「英語表現 Ⅰ」掲載の言語活動 (口頭テクスト・書面テクスト産出活動) はジャンル (目的別テクスト) とテクストタイプ (形式別テクスト) を区別し両方明示しているかを調査した。 (1)については,調査対象を高等学校学習指導要領解説外国語編 (平成21年告示),同外国語編 (平成30年告示),さらに,同国語編 (平成30年告示) とした。学習指導要領の「本体」の調査は「解説」の文書に含めて行った。ジャンル=テクストファミリー (目的別テクスト) に関わる文言は3編いずれにも掲載が認められた。しかし,外国語編では,H21年版からH30年版で文言の若干の増加はあるものの,国語編に比べると非常に少なく,ジャンルに対する意識が乏しいことがわかった。(2)の調査結果から,コミュニケーション英語 Ⅰ,英語表現 Ⅰ ともにジャンルとテクストタイプの両方を示した言語活動数は非常に少なく,掲載言語活動に占める割合は1割弱であった。したがって,上記2種の検定教科書にはジャンルの知識の明示的指導は意図されていないと判明した。 なお,これらの研究成果は関東甲信越英語教育学会にて口頭発表を行ったのち,同学会紀要にて「高校英語におけるジャンルの意識―学習指導要領及び解説,検定教科書の調査から―」として論文にまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調である。研究を進めるうちに、調査研究の対象を拡げる必要が生じ、当初予定の「検定教科書掲載の言語活動」調査に加えて、学習指導要領及び解説の外国語編さらに国語編も調査検討したため、時間を要した。当初予定の国内外の「授業実態調査」等については次年度以降に延期し、本研究課題により慎重に取り組んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目(2019年度)は、ジャンル準拠教育を高校英語教育で取り入れる可能性について探るべく、当初計画にある「核となるパフォーマンス課題」をジャンル準拠指導に対応する形で作成・試行することを目指す。 表出技能(話すこと・書くこと)については本研究一年目(2018年度)の研究計画内で調査したため、次は受容技能(読むこと、書くこと)へと調査を拡げる。検定教科書掲載の本文及び受容技能に関わる課末課題等について、「コミュニケーション英語Ⅰ」の全数調査を行う。また、授業実態調査の一環として、指導者および学習者についてジャンルの意識の有無を調べる質問紙調査等も行う。これらの調査研究を経て、国内はジャンル準拠指導の試行を研究協力者に依頼し、その授業実践を観察する。国外は、必要に応じて、ジャンル準拠教育実践校を視察する。
|
Causes of Carryover |
本研究課題を達成するために、当初計画の調査研究をより広範かつ慎重に行う必要が生じ、初年度の調査研究を次年度以降に延期したことが理由となる。しかしそのおかげで、研究内容はより深まっているおり、次年度以降に延期した研究計画は確実に実施し、その費用も予定の費目で使用する。
|
Research Products
(5 results)