2019 Fiscal Year Research-status Report
ジャンル準拠指導と評価に基づくパフォーマンス課題の開発
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18K00852
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
今井 理恵 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (40766987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峯島 道夫 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (10512981)
松澤 伸二 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (90207043)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジャンル / ジャンル準拠指導 / ジャンルに正対する発問課題 / 検定教科書 / 高校英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,引き続き,高校英語におけるジャンルの意識を検討する目的で検定教科書における受容技能(読むこと)に関わり,調査・分析(1)、(2)を下記の通り行った。 (1)高校英語の授業で,テクストの目的を自覚し目的や状況に応じて読み方を変えて読み進められる独立した読み手を育てるためには,検定教科書には多様なジャンルを掲載し,テクストタイプが明示されていることが望ましいとの考えに立ち,検定教科書の本課テクスト,付録テクスト,リード文について調査した。本課・付録テクストのジャンルとテクストタイプの種類と頻度を調査した結果,調査対象とした本課テクスト,付録テクスト,リード文への教科書掲載は,3ジャンルファミリーのうち説明テクスト群の叙述的説明ジャンルにほぼ限定されており,テクストタイプの自明性も低いことが判明した。またリード文でも,ジャンルとテクストタイプが十分に示されていないことが分かった。したがって,検定教科書は学習者の学習の幅を狭めないよう,より多様なジャンルを採用し,テクストタイプを明確に示す必要があることが示唆された。 (2)検定教科書における読みの発問課題は,ジャンル準拠リーディング指導での授業を促進するためにより適切に設計し得ると考え,教科書コミュニケーション英語Iから無作為に3ジャンルファミリーのテクスト(物語・・説明・意見テクスト)が掲載される課を選び,当該本課テクストの前,中,後に付く発問課題についてそれが属するジャンルに正対する発問課題となっているかを検討した。分析対象の発問課題(54)のうち,ジャンルに正対する適切な発問課題と判定されたのはわずか9つ(20%未満)であった。これらの教科書の本課テクストに付く発問課題ではジャンルを意識した読みを学習者に促すことは困難であり,検定教科書に現在掲載される発問課題には改善の余地があることを示唆していると結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調である。前年度の研究から引き続き,調査研究の対象を日本の高校英語の授業や大学入試において依然として重要視されている受容技能の読み部門に絞り,すでに調査を終えた表出技能の「言語活動」調査に加えて,教科書テクストさらには発問課題へと調査分析を進め,ジャンル準拠リーディング指導の肝となるジャンルに正対する課題の開発に取り組むところである。当初予定の国内外の「授業実態調査」等についてはCOVID-19の影響により延期を余儀なくされたが,本研究は滞ることなく成果を得て,おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目(2020年度)は,ジャンル準拠リーディング指導を行うためのジャンルに正対する発問課題の開発とそれに伴う指導手順の枠組みを提示することを目的に研究を進める。ジャンルに正対する課題を当初計画に示した「核となるパフォーマンス課題」として高校の検定教科書に準拠して指導するためである。また,開発したジャンルに正対する課題の妥当性を検証するために,高校現場での授業実践を研究協力者に行ってもらい,その実践結果を得て,ジャンルに正対する課題と指導手順を修正し,完成を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究課題は研究を進めるうちに,当初計画の調査研究をより焦点化し詳細に行う必要が生じ,前年度の調査研究を次年度に延期したこと,またCOVID-19の世界規模の蔓延に多大な影響を受け,国内外のジャンル準拠教育実践校の視察などが行えなかったことが理由となる。しかし,これについては,当初の研究計画に挙げた項目の実施時期や内容を柔軟に修正対応したため,研究全体には充実している。前年度に延期した研究計画は確実に実施し,その費用も予定の費目で使用する。
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Research Products
(2 results)