2022 Fiscal Year Research-status Report
クリティカル・リーディングが英語学習者の深い読みに及ぼす効果
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18K00853
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
伊佐地 恒久 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (20586482)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 批判的思考力 / 英語授業 / リーディング / ライティング / 統合的指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究成果を踏まえて英語授業においてリーディングとライティングの統合的指導により、学習者の批判的思考力の育成を目指した。例えば、高等学校外国語科の科目である「論理・表現」において、聞いたり読んだりした内容について、段階的な手順を踏みながら意見や主張などを適切な理由や根拠とともに書いて伝える言語活動等(文部科学省, 2019)、批判的思考を働かせた複数技能の統合的な指導が重視されている。 本実践は、私立大学生33名を対象に行った。始めにリーディングの指導を行った。まず、first-readingでは事実質問によりテキストの概要を把握させた。文法・語句の説明の後、second-readingにおいて推論質問を用いて内容理解を深めた。その後、third-readingではテキストの内容に疑問を呈する等、テキストについて学習者自身の意見を構築する手助けとなる質問を与えた。その後、ライティングの指導へ進んだ、意見のアウトラインの作成、ペアによる意見交換に続いて、テキストの内容について意見文を記述させた。その効果を批判的思考力及び批判的思考態度から、学生の反応を自由記述式アンケートにより調べた。その結果、批判的思考力の有意な向上が見られた。一方、批判的思考態度への効果については、明確な結果は得られなかった。自由記述式アンケートの結果から、学習者は本実践を概ね好意的に受け止めているが、論理的で説得力のある意見文の記述やsecond readingの質問には困難を感じているようであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究成果を踏まえてた実践研究は実施できた。ただ、「研究実績の概要」で述べたように、実践と批判的思考態度との関係ははっきりしていない。また、批判的思考力についても測定方法の工夫が必要だと考えらられる。これらの点から、「やや遅れている」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次の課題に取り組みたい。まず、リーディング指導において、third-readingの質問を再検討し、学習者の批判的読解と意見文の作成をさらに深く、多角的なものとしたい。次に、批判的思考態度について、より深く把握する方策を検討したい。意見文の評価法についても検討し、実践したい。
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Causes of Carryover |
昨年度に続き、新型コロナ感染拡大のため参加予定のセミナーが中止となったり、学会がオンライン開催となったため、参加費や旅費の支出が少なかった。次年度は、これらのセミナーや学会に参加し、研究を深めたい。
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