2018 Fiscal Year Research-status Report
ALTが語るナラティブとアイデンティティ変容に関する研究:社会文化的・言語的視点
Project/Area Number |
18K00856
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
坂本 南美 岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (40804810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 雅之 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (90321497)
奥田 恭士 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (10177173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外国語教育学 / ALT / ナラティブ / アイデンティティ / 教師の成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実施1年目の実績成果は,以下の2点にまとめられる。 1)文献調査 Assistant Language Teacher (ALT) に関する研究を、Japanese Teacher of English (JTE) との関係性に注目した研究、Team teaching における授業研究、ALTの制度面に焦点をあてた研究、授業中のALTに着目した研究、ALTの実態に関する量的研究、ALTのオートエスノグラフィ研究のカテゴリーに分けて整理した。これらを踏まえ、個人としてのALTに寄り添う研究として言語教師のナラティブ・アプロ―チが国内外ではどのように行われているかを精査した。また、外国語教育における学習者や言語教師のアイデンティティに関する理論を調査した。社会文化的視座からは、第二言語学習者のアイデンティティを捉えたNortonや言語教師のアイデンティティにおけるVarghese et alの研究が大きな示唆を与えてくれた。また、文体論・物語論の観点では、視点の問題に焦点を当て、「語り」に潜在する複数の「焦点化者」の存在を指摘しているGenette、インタビューの身体性に言及するBarthe等の文献を精査した。 2)ALTへのインタビュー実施と分析 日本やオーストラリアの学校に勤めるALTに半構造化インタビューを実施した。インタビューは、外国語教育実践全般に関わる内容とし、一人につき30分~45分のインタビューを行った。また、ALTに関わる機関でもインタビューを実施した。本研究に携わる研究者が、社会文化的視点、言語的視点からALTのナラティブをそれぞれに捉えてまとめ、国内の学会で発表を行った。本年度は日本で勤めるALTのナラティブを各研究者が異なる視点から行った分析を今後は統合的にまとめてALTのナラティブを捉えていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた国内・海外のALTへのインタビューが計画通りに進み、各研究者がそれぞれのアプローチに基づいて計画的に分析を進めていくことができている。また、定期的に会議を持つことで、研究の進捗状況を常に共有しながら進めていくことが可能となり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、日本や海外で勤める現職のALTへのインタビューによるナラティブを分析してきた。今後は現職ALTに加えてALT経験者へのインタビューの実施も計画している。ここまでは異なるアプローチからALTのナラティブ研究を進めてきたが、上記研究実績と成果を踏まえ、今後の研究の中で特に令和元年の後半からは、それぞれのATLについて各アプローチを統合的にまとめていく予定である。その中で、共通点や相違点を見出しながら、外国語教育におけるALTのアイデンティティ変容の様子をより明確に分析、理論化し、学会での研究成果発表や研究論文の発表も含めて計画的に進めていく。
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Causes of Carryover |
令和元年にも繰り越された海外でのインタビューを計画しているため、旅費の配分を考慮した結果、次年度に繰り越している。
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