2020 Fiscal Year Research-status Report
ALTが語るナラティブとアイデンティティ変容に関する研究:社会文化的・言語的視点
Project/Area Number |
18K00856
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
坂本 南美 岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (40804810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 雅之 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (90321497)
奥田 恭士 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (10177173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外国語教育 / ALT / ナラティブ / ALTのアイデンティティ / 教師の成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実施3年目の成果は,以下の2点にまとめられる。 1)インタビューデータのナラティブ分析 本研究における3年目の成果として、ALTへのインタビューデータのナラティブ分析を進め、ALTの専門的力量形成の枠組みとして、5つのプロセスを辿る「教師の気づきによる成長モデル」としてまとめた。ALTたちのナラティブデータからは、彼らが個々の文脈の中で、(1)異文化の文脈における語りのはじまり、(2)教師の気づき(認知的気づき、感情的気づき、同僚性への気づき)の経験、(3)言語教育へのinvestment、(4)協同的実践としての同僚性の構築、(5)やりがいを軸とした成長への歩みを辿り、教師としてのアイデンティティを変容させながら専門的力量を形成していく様子が説明された。特に、同僚や生徒との関係の中で、言語教師としてのやりがいがALTたちの教師としての成長を後押ししていた点、また、社会的な営みの一つであるインタビューにおけるインタビュワーとインタビュイーとの関係性についても、社会文化的視点から考察した。本研究成果は、2022年3月に出版予定の書籍としてまとめている。 2)ナラティブ研究の発信 本研究の関するウェイブサイトとして共同開設した「ナラティブ研究の実践と応用」を通して、ナラティブ研究に関する研究成果や研究会、研究論文、書籍などの情報発信および研究に関する交流を進めている。このサイトでは、「教師のナラティブ」「学習者のナラティブ」「病のナラティブ」の3つのナラティブ研究を軸として運営しており、教師のナラティブに関して、英語教師及びAssistant Language Teacherの語りおける研究を発信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響により、予定していたインタビュー及び学会での発表が一旦延期、または中止されたことにより、進捗状況にやや遅れが生じた。そのことにより、本年度は、ウェブサイトを活用し、これまでの研究成果の情報発信を中心に取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナ感染症の影響により、まとめとして予定していたインタビュー及び学会での発表が一旦延期、または中止されることとなった。活動が停滞したことにより、本課題研究は研究期間を1年延長し、今後は、(1)2019年度末に開設したウェブサイトを活用した研究成果の社会への発信を進めるとともに、(2)4年間の研究のまとめの年として、研究成果を書籍としてまとめていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の影響によりまとめとして予定していた学会参加・研究ができなかったことがあり、次年度への繰り越しが生じた。
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Remarks |
本研究の関するウェイブサイトとして開設した「ナラティブ研究の実践と応用」を通して、ナラティブ研究に関する研究成果や研究会、研究論文、書籍などの情報発信および研究に関する交流を進めている。
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