2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00857
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
宮岡 弥生 広島経済大学, 教養教育部, 教授 (10351975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時本 真吾 目白大学, 外国語学部, 教授 (00291849)
時本 楠緒子 尚美学園大学, 総合政策学部, 非常勤講師 (10435662)
Verdonschot RG 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30756094)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遠隔授業 / 人間の存在感 / e-ラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、比較的安価に設置できるオンデマンド形式の遠隔授業に焦点を絞り、費用対効果の高い遠隔授業の方法を検討することである。オンデマンド形式の遠隔授業では、学習者の緊張感の持続が課題である。教師と学習者の間で双方向のコミュニケーションがとれないこの種の授業においては、学習者に対し如何にして緊張感を与えるかが教育効果を上げるうえでポイントとなる。この緊張感を創出する要素として、本研究では人間の存在感に着目して実験を行い、適度な緊張感を遠隔授業の学習者に与える方法について検証する。 令和元年度には、脳波測定も視野に入れた実験の実施に向けて、先行研究の精査と実験デザインの検討を行った。また、より詳細なデータが採取できるよう、研究代表者である宮岡の研究室にある脳波測定装置よりも高性能の機器を他大学から借り受け、実験開始に向けて準備を進めた。 しかし、新型コロナウィルスの問題が発生し、令和2年2月から3月にかけて予定していた実験が延期となった。さらに、緊急事態宣言が発令され、自宅でのリモートワークやオンライン授業が増え、双方向コミュニケーションが可能なリアルタイムのオンライン会議システムが急速に普及した。この状況の一変により、遠隔授業における緊張感の創出には何が有効なのかを検証する際、本研究で当初念頭に置いていたオンデマンド形式だけでなく、リアルタイムで双方向コミュニケーションがとれるオンライン会議システムも視野に入れる必要性が生じた。令和2年6月1日以降は実験場所となる広島経済大学の構内への学生立ち入りが一部解除されるものの、厳重な感染防止策がとられる。実験に際しては、実験スペースという密閉空間で実験者と被験者が密接した状況になることが避けられないため、5月末の時点で実験開始の目途は立っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、より良い結果を求めて実験デザインの検討を重ねた結果、当初予定していた行動実験ではなく脳波測定実験を行う可能性が浮上した。そのため、平成31年3月末までに学内倫理委員会での実験承認を受け、実験環境の整備を行った。これに加えて、令和元年度後半には高性能の脳波測定装置を他大学から借り受け、装置のセッティングを行うなどの準備を進めた。 ところが、令和2年1月に新型コロナウィルスの問題が発生したことから、密閉空間で実験者と被験者が密接した状況で行わざるをえない実験を実施するのが難しい状況となった。また、緊急事態宣言の発令により、日本全国の学校現場において、リアルタイムの双方向型オンライン授業が我々の予想をはるかに超える速度で普及したため、実験デザインの再考を余儀なくされている。コロナ禍の状況が収束に向かい、安全性が確保できるまでは実施は控えた方が良いと思われるため、令和2年5月末の時点で実験開始がいつになるかは不透明である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は実験によってデータを得ることが前提となっている。コロナ禍により実験開始時期が見通せないが、令和2年度前半は実験デザインの再考と先行研究の精査を進める予定である。実験開始時期は、早くて令和2年8月以降になると考えられることから、本年度中の研究完了が危ぶまれるのが現状である。本年度は研究の最終年度であるため、研究完了が難しくなった場合には、研究年度の一年延長をもって対応したい。
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Causes of Carryover |
本研究の開始時には、令和元年度に実験を実施することを予定していた。しかし、当初計画していた行動実験ではなく、脳波測定実験を行える可能性が出てきた。そこで、より良いデータを採取するために、令和元年度は高性能な脳波測定実験装置の設置、学内倫理委員会における実験実施の承認、実験デザインの再構築などを行った。その上で、令和元年度末に実験実施を計画していたところ、コロナ禍に見舞われ、実験の延期を余儀なくされた。そのため、実験実施のために計上していた費用が次年度への繰り越しとなり、次年度使用額が生じた。
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