2018 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語教師のクラスルーム・インタラクティブ・コンピテンス育成の為の談話研究
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18K00859
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
細川 博文 福岡女学院大学, 国際キャリア学部, 教授 (10249625)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教室談話構築能力 / インタラクション / 英語コミュニケーション力 / 英語による授業 / 英語指導力育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「日本人英語教師のクラスルーム・インタラクティブ・コンピテンス育成の為の談話研究」と題して、英語による授業を通して教師が「教室談話構築力」(Classroom Interactional Competence)をいかに形成することができるかという点について研究するものである。研究は主として中学・高等学校を対象とする。学校英語教育は世界のグローバル化に対応するため生徒の英語コミュニケーション力育成に力を入れてきたが、文科省が目標に掲げる成果には到達できていない。文科省は2003年に「英語が使える日本人の育成のための行動計画」を発表し、その後学習指導要領の改訂、教師の指導力育成、高大接続入試改革と総合的観点から現状の改善に取り組んできた。しかし、教室内の英語授業にはまだ多くの課題が残っている。前回の科研(2014年度~2017年度)では英語での教室談話に課題があることが分かった。その中でも最も大きな課題は、教室内で英語による「インタラクション」が十分に生じていない点である。研究初年度は過去の研究を発展させるため、「インタラクティブな授業」に焦点を当て教師の「教室談話構築力」について質問紙調査を行った。調査対象として福岡県を中心に九州圏内の100校の中学校、および九州圏内を中心に全国150校の高等学校に質問紙(1校4枚)を配布し、合計50校、148名の中高教師から回答を得た。質問紙は4項目からなり、インタラクティブな指導に関する(1)教員養成の現状、(2)教師の意識、(3)授業実践、(4)生徒の反応について尋ねた。その結果、教員養成が不十分であること、しかし、多くの教師が英語によるインタラクションは重要であると考え、授業では前向きに取り組んでいる、ただ、それに対する生徒の反応が基本的なものを除くと十分なレベルに達していないことが分かった。今後詳細なデータ分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は(1)中学・高等学校の英語教師を対象に教室談話に関する教師の意識調査(質問紙)を行うこと、(2)教室談話構築能力研究分野の第一人者Walsh教授に会い研究助言を頂く、また、香港の英語教育に関して教育関係者にインタビューを行うことを計画した。第1点目の質問紙調査は中学100校(九州圏内)及び高等学校150校(九州圏内を中心に他県全国)の選定を行い2019年3月1日を締切日に設定して回収した。その結果50校148名の教師から回答を得た。詳細な分析は2019年度に行う。第2点目の研究助言については連合王国Newcastle大学のWalsh教授が2019年1月より香港大学客員教授となるため3月に香港で会う運びとなった。90分のインタビューを通して今後の研究推進に有益な助言及び情報を得ることができた。また、香港在住の英語教育関係者から香港でのEMI(指導媒体言語としての英語)の現状について貴重な情報を得ることができた。以上から、得られた情報の多くが2019年3月であったため、詳細な分析がまだ不十分であるが、計画したことはおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は中学・高等学校の現場英語教師の協力を得て実際の授業を参観し、ビデオ撮影して教室談話のデータを収集する。そのためにも過去の研究で築いたネットワークを使って積極的に英語で授業を行っている教師の協力を得て研究を進めたい。また、ビデオ撮影して得たデータは文字ベースでは膨大なものとなるため、Walsh教授の助言に従い研究に必要な部分にフォーカスを当て、その部分を中心にインタラクションがどのように成立するのか、教室談話に関する生徒の英語知識・一般既有知識・コミュニケーションを図ろうとする態度などを含めて、インタラクションが成立する話題の特性、談話を維持していくための教師の談話コントロール力などについて多面的に分析を行う。こうしたデータ収集が2019年度に十分実施することができれば、最終年度に有効な分析を行うことができると考える。ただ、教室現場でのデータ収集は個人データを扱うことになるので、インフォームドコンセントを得ながら研究倫理上問題のないように実施する計画である。
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Causes of Carryover |
研究助言を求めるため連合王国(UK)Newcastle大学の Walsh 教授に会う予定であったが、同教授が香港大学に客員教授として移動したため出張先が連合王国から香港に変更なった。その結果として出張旅費に残額がでた。
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