2021 Fiscal Year Research-status Report
教員と学習者間の身体的同調を生かした音声指導法の開発
Project/Area Number |
18K00860
|
Research Institution | Kyoto Junior College of Foreign Languages |
Principal Investigator |
山本 玲子 京都外国語短期大学, キャリア英語科, 教授 (60637031)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里井 久輝 龍谷大学, 理工学部, 教授 (70388643)
真崎 克彦 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (60845212)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 音声指導 / 発音記号 / 身体性 / 教員研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発した発音記号指導教材を京都・大阪・兵庫の3つの大学の授業において検証した。統制群・対照群を設定できる状況ではないため、本教材を使用した発音指導とそれ以外の教材を使用した発音指導の比較はできなかったが、本教材を使用した発音指導における発音記号の習得が確認された。またアンケートや毎時間のジャーナル記述を質的分析の対象とし、KJ法やクラスター分析を通しキーワードを抽出する作業を行った。その結果、学びに向かう力の育成、自律学習者としての成長といった、学習者の内面の向上に直結したことが確認された。その理由として、発音記号を習得することは、自己流に覚えていた発音を正確にとらえなおすだけでなく、常に正しい発音を容易に確認するという学習態度の向上にもつながるからである、と分析した。 以上の実績に関し、口頭発表2件、論文1本、単著の出版による成果発表を行うことができた。口頭発表としては、大学英語教育学会第60回記念国際学会、The JACET 60th Commemorative International Convention(オンライン, 2021)において、研究代表者が発表した。特に学生のジャーナル記述における質的分析の結果に焦点化したものである。論文は研究分担者が筆頭著者となり、外国語教育メディア学会の関西支部収録に採択された。さらに現代図書から研究代表者の単著として『共感力と情動:外国語教育がめざすもの』(2022)を出版した。本著では、身体性を育てるための指導法の開発に関するこれまでの研究を網羅しつつ、本研究で得た成果をまとめたものである。身体性は、最終的に学習者の内面の変容をもたらすものであると結論づけた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のオンライン授業のため実証授業を実施できずにいたが、オンラインでも本教材が活用できることが明らかになったため、順調に実証授業を実施し、成果を挙げることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
発音記号指導のための教材開発が一段落したため、発音指導におけるもう一つの要素であるプロソディ指導に特化した教材開発にあたる予定である。
|
Causes of Carryover |
当初より、発音記号及びプロソディという2項目の指導を発音指導に必須の要素と位置付けていたが、予算及び時間的制約から、少なくとも発音記号指導教材を開発できれば目標達成と判断していた。今回、国際学会が中止になり予算の余裕ができたことに加え、研究期間の延長が認められたため、プロソディ指導のための教材開発に着手することが可能となった。発音記号の教材にはネイティブスピーカーの協力者を得たが、プロソディ教材には歌やチャンツを使用するため、ネイティブスピーカーでありかつ音楽的素養を持つ人材が音声録音を担当する必要がある。音声録画の人材への協力依頼及び音声編集の外注に経費を使用する計画である。
|