2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00865
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
野地 美幸 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40251863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 基樹 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 准教授 (60609098)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本人英語学習者 / why・what疑問文 / 倒置無エラー / 短距離・長距離wh移動 / 部分的wh移動 / wh複写 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究初年度に執筆した論文「日本人学習者による英語の長距離wh移動の習得: 部分的wh移動とwh複写に焦点を当てて」が2019年8月に上越教育大学の紀要に掲載された。 もう一つの研究成果は次の通りである: L2英語学習者がwh疑問文の倒置を習得する際に、疑問詞の種類により倒置無文の容認度・産出頻度が異なり、whyが項のwh句の場合と比べて倒置無文が容認・産出されると言われている。また、その原因に関しては、(インプット量の違いに起因するという)インプット頻度アプローチというより(whyが元位置に留まることに起因するという)統語的アプローチが支持されている。本研究は、研究計画二年目(2019年度)の試みとして、この統語的アプローチの妥当性の検証を行った。統語的アプローチが正しいとすると、疑問詞によって倒置率が異なるのは短距離のwh移動の場合に限られ、長距離のwh移動の場合そのような違いは見られないことを予測する。この予測の下、口頭英訳タスクを用いた実験を行った。日本人英語学習者59名の参加者のうち、倒置有文と無文をそれぞれ1文以上産出し「倒置習得中」と考えられる32名学習者に関して、短距離移動の場合のみwhyの倒置無平均生起率がwhatより有意に高いという結果となり、統語的アプローチが妥当であるとの示唆を得た。この研究成果は2019年11月に開催された日本言語学会159回大会での口頭発表およびその予稿集で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究初年度の論文が紀要に掲載された。また、L2英語のwh疑問文の倒置に関する研究は、学会発表等でその成果を示すことができた。したがって二年目はほぼ計画通り成果が得られたと言えるであろう。一方、次年度の研究に向けて3月に計画した海外でのL2日本語研究の資料収集および研究打ち合わせはコロナウイルスの影響を受け中止となったことから、計画の変更も迫られている。
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Strategy for Future Research Activity |
L2日本語の機能範疇の習得を調べる実験の実施に向けて準備を行う。また、これと並行して、機能範疇Tが多重指定部を許す日本語を母語とする英語学習者が英語の機能範疇Tを習得する際にどのようなことが起こるのかについて実験を計画中である。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせが日程調整が困難となり回数を減らさざるを得なかったり、予定していた海外渡航がキャンセルとなったため。また、購入予定の図書の入手に時間がかかり、計上できなかったものもあった。次年度使用となった上記金額については、文献収集等に活用していきたい。
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Research Products
(3 results)