2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00865
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
野地 美幸 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40251863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 基樹 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 准教授 (60609098)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | L1日本語の英語学習者 / tough構文 / インプットの影響 / 母語の影響 / 残留代名詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
L2学習者による機能範疇の習得の解明に向けて、令和4年度は、まず、前年度学会誌に投稿した論文の修正に関連して日本人英語学習者による書き言葉コーパスの再調査と追実験を行った。コーパスの再調査を通して、中高生がfor句付きtough構文を産出していることが判明した。この結果は、(i)インプット(教科書に掲載されているfor句付きtough構文)では十分な説明ができないこと、(ii)for句付きtough構文は日本語でも構造は異なるが対応するものがあることからL1の影響もあるとするとより自然な説明が可能であることが明らかになった。 追実験では、L1日本語の学習者(高校生)がL2英語のtough構文で残留代名詞を容認するのかを調べた。その結果、文末副詞の存在による影響も受けながら、彼らが他動詞文よりtough構文で残留代名詞を容認する傾向が高いことが明らかになった。したがって、彼らのtough構文に関する文法知識に演算子の移動は関わっていない可能性があるとの示唆を得た。演算子の移動は機能範疇が引き金となって生じるとされており、tough構文の埋め込み文内の機能範疇が目標言語とは異なる性質を持っている可能性がある。 令和4年度はこうしたコーパスの再調査と追実験の結果を基に論文を修正し、再投稿を行った。 一方、このtough構文の研究の一部に関しては、2023年2月28日に新潟大学言語研究会(NULC)第85回研究発表会で「日本語が母語の英語学習者によるtough構文の習得: インプットと母語の影響」と題する口頭発表を行い、研究成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度もコロナ感染状況によって影響を受けた時期があった。また研究室のある建物の改修工事で引っ越し作業が二度に渡って必要となった。こうしたことから追実験の実施、そして論文の修正に費やす時間の確保が不十分な状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本人学習者によるtough構文の習得に関する研究に関しては、論文再審査結果が届き次第対応に当たる予定である。次年度中に何らかの形で公表できるよう取り組みたい。 また、令和4年度に一部着手した日本語人英語学習者の否定文の解釈に関する研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度はコロナの流行および研究室の引っ越し作業により、研究の遂行・研究費の執行に大きな影響を受けた。このような経緯から未使用額が生じたので、令和5年度は図書等の購入、旅費等で有効に活用したい。
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Research Products
(1 results)