2023 Fiscal Year Annual Research Report
The longitudinal study of the translingual development of literacy and identity
Project/Area Number |
18K00894
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
根本 浩行 立命館大学, 文学部, 教授 (40452099)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポスト構造主義 / 言語横断的視座 / アイデンティティ / リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大学を卒業し、様々な業種で活躍する研究対象者の追跡調査を実施し、アイデンティティとリテラシーの言語横断的発達過程を経時的に検証した。分析結果は研究対象者に文書で報告し、研究者側の解釈と研究対象者の見解に齟齬が生じていないか確認するとともに、さらなる自己省察を促し新たな評価・意見を引き出すことにより、グローバル化社会における雇用適性と言語横断的能力の相関性に関する補足的データを収集した。また、国際応用言語学会(AILA)をはじめとする複数の国際学会に参加し、最新の研究動向に関する知識を本研究のデータと照らし合わせることで理論的考察を深めた。国際学会では、本研究と同様の質的研究方法を用いて第二言語アイデンティティ研究を行っている世界各国からの研究者と意見交換する場を持ち、ナラティブデータの分析方法に関する知見を広げることもできた。これにより、より体系的な視点で本研究のデータを捉えることが可能となり、データ分析の妥当性および整合性を高める効果が得られた。さらに、これまでの縦断的調査で収集したすべてのデータを多角的に分析し、文化、言語のハイブリッド化による第三の視点や言語横断的な間主観性などの新たな着眼点を見出すことができた。本研究の最終的な研究成果はドイツのPeter Lang社からPrague Papers on Language, Society and Interactionの第7巻として刊行となる共編著で発表する予定である。今年度は担当章の校正を重ねながら、共編者、査読委員、出版社、そしてシリーズを統括する研究者との入念な打ち合わせを通じて、本書全体を包括する理論的枠組みを修正・再構築し、各章の整合性を高めた。
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