2018 Fiscal Year Research-status Report
メタ言語能力を涵養する言語産出型TILT教授法の開発
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18K00895
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
南津 佳広 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 准教授 (70616292)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TILT / 通訳 / 翻訳 / 言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、先行研究を踏まえて、英語の授業において通訳メモを導入することで、学習者の言語産出の様子を分析した。その結果として、(1)発話プランを可視化させることができたことと、(2)メモを手がかりに制限時間内に文法的で論理的なフルメッセージを英語構成させようとしていることにもつながった。さらに、学習者は文法的な正確さよりも語用論的な的確さを優先させて発話しようとしていることも明らかとなった。さらに、訳式メモを英語の発信力強化にどのように応用することができるのかについても調査・分析をすすめた。
その結果を踏まえて、日本メディア英語学会第126回西日本地区研究例会において、シンポジウム「教育と翻通訳―どのメディアをいかに教育に応用するか―」を開いた。日本におけるTILTの広がりを概観し、「逐次通訳訓練手法はモノローグ・スピーチ産出の訓練にどこまで貢献しうるか」のテーマで研究発表を行った。さらに、韓国英語教育学会の第26回国際会議にて"Promoting Fluent Language Produtction through the Method of Consecutive Interpreting"のでテーマでも発表した。
あわせて、翻訳のプロセスも検証するために、英語の授業にて翻訳を導入するための予備演習の教材を作成して導入したうえで、英語の絵本を選定して学習者に日本語へ翻訳を行ってもらった。翻訳のプロセスでは、学習者は飽和化、アドホック概念構築などはオンラインで処理できているが、自由拡張などはばらつきが生じた。1回目の翻訳を踏まえて校正作業を行い再翻訳させたところ、自由拡張のばらつきは修正されることはなかった。その結果を第47回九州英語教育学会鹿児島研究大会において「TILTによる訳出をめぐる語用論的プロセス分析と論理的思考力の涵養」のテーマで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の調査結果を踏まえて、TILTに関するシンポジウムを開催して発表を行った。さらにその報告を投稿している。さらに、国内外の学会にて研究成果を発表し、その結果を応用して公開講座を開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
通訳式メモを用いた言語処理のプロセスと発信力の関係を分析するのみならず、分析対象を少し広げて、翻訳プロセスにも引き続き触れる予定である。
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Causes of Carryover |
本研究を進めるにあたり、予定にはなかった2種類のもの購入した。まず、翻訳プロセス研究に関する書籍である。なぜなら、学会発表や研究会などで、通訳学の研究だけでなく翻訳学の中でも特にプロセス研究の示唆も必要ではないかとの指摘を受けたことによる。次に、全天球型のカメラを購入した。なぜなら、授業内で学生同士によるピア・レヴューを行わせるにあたり、教員が提示したテーマに沿って話し合いを進めているか、学生同士がまんべんなく発言しているのかを確認するためである。さらに、動画などの処理を迅速に進めるために、当初の予定より性能が高いノートパソコンを購入した。このため、経費出張旅費と書籍代が不足したため10万円前倒し支払い請求すを行った。
2019年度(平成31年度)は、データ収集とその進捗状況の成果発表を予定しているため、前倒し請求をすることで予算が10万円減額となっても、大きな問題は生じない。そのため、当初予定していた研究目標は達成することができると考えられる。
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Research Products
(3 results)