2021 Fiscal Year Research-status Report
メタ言語能力を涵養する言語産出型TILT教授法の開発
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18K00895
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
南津 佳広 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 准教授 (70616292)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TILT / メタ言語能力 / パラフレーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に引き続き、勤務校では2021年度の前期と後期の途中まで遠隔授業が行われた。そこで、遠隔と対面双方で対応可能な通訳式ノート・テーキングと字幕翻訳の授業に導入したが、前者は遠隔授業で使用する媒体の個人差が激しく思い通りにデータを集めることができなかった。そこで、字幕翻訳でのパラフレーズに着目した。授業では、まず、SLのセリフを 翻訳させた上で文字数の制約に則って字幕を作成し、ピア・レビューと省察を繰り返させたところ、「文単位でのパラフレーズ」に最も苦戦していることがわかった。視聴者が違和感のな いものとして容認できる訳出を行うためには、SLとTLの文法的(意味論的)制約に加えて、推論を 経た語用論的な操作を行わなくてはならない。その中で核となるのが「文単位でのパラフレーズ」である。この「文単位のパラフレーズ」は、単に冗長性をなくした表現にパラフレーズ するのみならず、日本語と英語をはじめとする外国語では言語化する際の「視点」の置き方が異な るために、翻訳行為を行う際には、言語化された文構造の根幹をなす「行為主」・「動作」・「その対象」から構成される命題関係を、「動作」をあらわす表現を中心に置き換えなくてはならいことまで含まれる。この文単位のパラフレーズを学生が苦手とする主な要因として考えられるのは、発話内行為の解釈の失敗と視点の変更による動詞を言い換えることができなかったことである。そこで、学生が苦手とする「文単位でのパラフレーズ」に着目して、データを収集し、分析と類型化を行った。その中でも、特に学生が苦手としていた事象を把握した上で視点の変更を伴う語用論的な言いかえを促す方法を分析し、日本メディア英語学会の第11回年次大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように通訳式ノート・テーキングと字幕翻訳の言いかえの分析を同時並行で進めていたが、前者はデータが集めにくくなり、後者に的を絞り、日→英のデータも集めることができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
訳出局面において推論を伴う語用論的操作を経る「文単位のパラフレーズ」に焦点 を当て、学習者自身がメタ言語能力を使用して言語処理を最も明確に意識して、「簡潔化」を伴う「情報の圧縮」という制約の下で訳出下データを分析し、積極的な言い換えを促し、言語運用の幅を拡げ、その運用能力を高める教授法を検証する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で当初の計画とはややずれが生じてしまっている。さらに、2020年~2021にかけて当初計画していたデータ収集を行うことができなかったために、1年延期することになたっため。
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Research Products
(1 results)